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交通事故の知恵袋

【交通事故法務の基礎知識⑧】紛争解決の手段

交通事故に遭われたとき,どうやって損害賠償の問題を解決すればよいか,悩まれる方も多いのではないかと思います。

今回は,交通事故に遭われた場合,その損害賠償請求を解決する方法について,紹介させていただきたいと思います。

 

1 示談あっせん

 

日弁連交通事故相談センターが実施している示談あっせんという制度があります。

 

被害者があっせんを申し立てると,弁護士が被害者と相手方の保険会社の担当者との間に入り,解決に向けた話し合いが行われます。

 

費用が無料である点や,比較的早期に解決できる点(通常3回程度の話し合いが行われます)などのメリットのある制度ですので,後遺症の有無や等級認定に争いがなく,過失割合に大きな争いがない場合などには,有効な制度ということができます。

 

2 交通事故紛争処理センター

 

全国10か所に設けられた交通事故紛争処理センターを利用するという方法があります。

 

同センターには,嘱託弁護士が常時配置されており,法律相談や和解あっせんを利用することができます。

さらに,同センターは,両当事者間で示談が成立しなかった場合,当事者の言い分を聞いた上で判決のような「裁定」を出すことができますが,この裁定には,損害保険会社は拘束される一方で,被害者は拘束されず,後述の調停や訴訟を提起することも可能です。

 

3 仲裁センター

 

また,お住いの都道府県の弁護士会に設置された仲裁センターを利用するという方法もあります。

 

ここでは,仲裁人という中立の立場の第三者が,双方の言い分を聞いた上で,仲裁判断を出すものです。もっとも,仲裁に従うかどうかは,当事者の合意によりますので,事前に,両当事者の合意書を作成することが必要となります。

 

4 調停

 

上記の各制度は,いずれも裁判所が関与しないものですが,裁判所に対して,交通事故に関する損害賠償の問題の解決を求めることができます。その一つが,調停という制度です。

 

調停は,後述の訴訟と異なり,話し合いで解決することを目的とした制度ですので,相手方が話し合いに応じる余地がある場合には,有効な手段ということができます(逆に,相手方と言い分が食い違っている場合には,調停を提起することは,あまり意味を持ちません。)。

 

5 訴訟

 

当事者間で話し合いがまとまらなかった場合,裁判所に対して,訴訟を提起することになります。

 

訴訟を提起する場合,基本的に相手方の住所の裁判所(損害賠償の金額によって,簡易裁判所か地方裁判所かが異なってきます)に提起することとなりますが,訴訟においては,被害者に生じた損害額や,相手方の過失割合等について,基本的に被害者の方で証明する必要がありますので,訴訟を提起する場合には,弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

 

以上の通り,交通事故に遭われた場合,損害賠償の問題を解決するための方法には,様々なものがあります。どの制度を利用するかは,具体的な事故の内容や,相手方の対応によって異なりますので,交通事故に遭われた場合,弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

(弁護士 野田 俊之)

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