交通違反の点数制度について

1.はじめに


交通事故を起こした時には、点数が減ってしまう、と気にされる方も多いと思います。点数によっては、いわゆる免停を受ける可能性もあり、業務上運転をされる方は特に気を使うところと思われます。

そこで、本稿では、この交通違反の点数制度について概要をご紹介したいと思います。

 

2.根拠規定

 

道路交通法において、免許証の発行は公安委員会が担当すると規定されているところ(第89条)、それぞれ規定された要件を満たす場合には、公安委員会は次の処分を課すことができると規定されています。

 

・免許付与の拒否又は保留(第90条第1項、第2項)

・免許取消し又は停止(第90条第5項、第6項、第103条)

 

これらの処分をする要件の中の一つとして、「この法律に基づく命令の規定に違反したとき」や「自動車等を運転することが著しく道路のおける交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」等の基準を設け、その具体的な内容として、道路交通法施行令で免許取消し又は免許停止の基準を定めています(施行令第38条第5項、第7項)。

 

3.具体的基準

 

基準については、一般違反行為にかかる点数と特定違反行為にかかる点数に加え、交通事故(当て逃げ事故)を起こした場合の付加点数にわけられており、原則として過去3年間の合計点数が一定数以上に達した場合には、別途定められた基準に従い、免許の取消し、停止、付与拒否、留保の処分がなされることになります。

 

一般違反行為にかかる点数は、道路交通法施行令別表二、一に規定されていますが、具体的内容を一覧にしたものの例は次のとおりです(警視庁のHP参照)。

 

特定違反行為にかかる点数は次のとおりです(道路交通法施行令別表第二、二)。

特定違反行為の種別:点数

運転殺人等又は危険運転致死等:六十二点

運転傷害等(治療期間三月以上又は後遺障害)又は危険運転致傷等(治療期間三月以上又は後遺障害):五十五点

運転傷害等(治療期間三十日以上)又は危険運転致傷等(治療期間三十日以上):五十一点

運転傷害等(治療期間十五日以上)又は危険運転致傷等(治療期間十五日以上):四十八点

運転傷害等(治療期間十五日未満又は建造物損壊)又は危険運転致傷等(治療期間十五日未満):四十五点

酒酔い運転、麻薬等運転又は救護義務違反:三十五点

 

付加点数は、道路交通法施行令別表二、三に規定されていますが、具体的内容を一覧にしたものの例は次のとおりです(警視庁のHP参照)。

 

これらの点数の合計と、行政処分前歴(過去3年間の免停、免許取消処分等をいう。詳細は道路交通法施行令別表三、備考「一」参照)の回数に応じて、免許停止又は免許取消しの基準が定められています(警視庁のHP参照)。

以上

(弁護士 武田雄司)