オーストラリア訪問記(10)
気がつけば、この訪問記も10回目を迎えました。
オーストラリア現地の法律事務所様に訪問・滞在させていただきながら、座学ではなく、実務を通じてオーストラリア法務(ビジネス・企業法務、遺言・相続法務、不動産法務)を習得する、という目的を勝手に立てて、それを厚かましくも現地の法律事務所様にお願いして実践すること、早10回目。
すでに毎年のルーティン化しております(勝手ながら)。
しかし、執拗に一つのことにこだわって継続すると、何となく形となっていくもので、今回は、今年の4月訪問時のAustralia-Japan Cross-Border Employmentセミナーに続いて、オーストラリア現地(シドニー及びメルボルン)でのセミナー開催も兼ねての豪州訪問となりました。
今回のセミナーは、日豪の遺言・相続に関する法務・税務セミナーで、日本の税理士法人様、豪州の法律事務所様との共催でした。
お陰様で、メルボルンは約40名、シドニーに関しては会場の都合上、途中でお申し込みを締め切ったうえで、約80名近い方に参加申込をいただき、無事に開催することができました。
今回のセミナーでは、主に、次のような3つの事例をもとに、法務・税務両面から、以下のトピックにつきお話をさせていただきました(当職は、日本法務の担当スピーカーを務めさせていただきました)。
【3つの事例】
<事例の説明>
- オーストラリア在住の夫婦にご相続があった場合(事例①及び②)、または日本在住の親に相続が発生した場合(事例③)。
- 被相続人は日本国籍 OR オーストラリア国籍
- 相続人はオーストラリア在住 OR/AND 日本居住
【今回のセミナーでのテーマ】
- オーストラリアにある財産はどの国の法律が適用?
- 日本にある財産はどの国の法律が適用?
- 日本の相続税は課されるのか?
【主なトピック】
<日本・オーストラリア法務>
- 日豪どちらの法律が基準となるか(準拠法の問題)。
- 裁判所と弁護士の役割(Probate・プロベートの要否など)
- 日豪それぞれでの法定相続人及び相続の順位
- 日豪それぞれの相続手続きフロー
- 日豪それぞれの遺言書(財産所在地の方式に従った遺言書をそれぞれ作成すべきか、の問題を含む)。
<税務>
- 日豪の相続税・贈与税の概要
- 日本の相続税・贈与税の課税対象範囲
- 日本の税務当局による情報収集
もし皆様におかれまして、上記の事例やトピックをご覧になって、日本にある資産に関する公正証書遺言や遺産分割協議、相続放棄手続、あるいはオーストラリアにある資産の遺言書の作成・相続手続(ProbateやLetters of Administrationなど)、さらには日本の贈与税、相続税に関するご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。
必要に応じて、オーストラリア現地の相続法務や、日本の国際税務(相続税等)に詳しい専門家をご紹介することも可能です。
最後に、今回、ご多忙のところ面談や食事にお付き合い頂いたシドニーやメルボルン現地の皆様、誠に有難うございました。
(毎度同じ角度からのMartin Place)
(美しきメルボルン・フリンダースストリート駅前)
【本内容は、執筆当時の情報をもとに作成しております。また、本コラムは、個別具体的な事案に対する法的アドバイスではなく、あくまで一般的な情報であり、そのため、読者の皆様が当該情報を利用されたことで何らかの損害が発生したとしても、かかる損害について一切の責任を負うことができません。個別具体的な法的アドバイスを必要とする場合は、必ず専門家(オーストラリア現地法に関する事項は、オーストラリア現地の専門家(弁護士等))に直接ご相談下さい。】
【弁護士 高橋 健/ Lawyer Ken Takahashi】