オーストラリア訪問記（２）

 

１．ゴールドコースト・ブリスベン訪問

 

 

今年の4月に続いて，オーストラリアを訪問しました。

 

今回，訪問したのは，ゴールドコーストとブリスベンです。

 

ゴールドコーストでは，業務提携関係にある豪州弁護士の先生と，日本及びオーストラリアの相続法務，不動産法務及びビジネス法務の情報交換を行うとともに，それらのオーストラリアの法実務（日系企業や日本人の皆様をクライアントとした法実務）を，現地にて，様々な角度から勉強させていただきました。

 

また，ブリスベンでは，豪州会計士の資格を有する先生（日本人）とお会いし，弁護士と比較してより近い立場で日系企業や投資家の方々と日々接していることで感じておられるオーストラリアのビジネス環境等について，ざっくばらんなお話を聞かせていただきました。

 

 

言うまでもなく，日豪間のビジネス法務や遺言相続等に取り組んでいる私にとって，これらは極めて貴重な経験となったわけですが，その中で私なりに感じ取った，（オーストラリアに関心を持つ）日本企業・日本人にとって，今，オーストラリアに進出する，あるいは投資することの理由・動機を，以下，簡単に記載してみようと思います。

 

 

２．日系企業・日本人にとって今のオーストラリアは冬の時代？

 

 

まず今のオーストラリアにおけるビジネス環境は，日系企業・日本人の進出・投資という視点で見ると，決して「良好」とは言えないものです（オーストラリア進出等のお手伝いをする本サイトでこういうことを言うのも何ですが・・・）。

 

その最たる例が，今年に入りオーストラリア当局が発表した就労ビザ（サブクラス457）の変更・廃止（新たなビザ制度設定）ではないでしょうか。

 

この457ビザは，日系企業の駐在員がオーストラリアで就労する際などに多く用いられてきたビザであり，今年，この就労のためのビザ取得が制限される方向で変更・廃止されることとなったのです。

来年，新たなビザが設定されるようですが，そこでは，取得条件が厳しくなるとともに，最も大きなインパクトの一つとして，一部の職種の方々への永住権の道が閉ざされてしまう制度設計になっている点が指摘されています。

 

 

このようなオーストラリア政府の政策は，間違いなく日系企業や永住権獲得を目指す日本人の方々には大きな障害となり，日豪間のビジネスに悪影響を及ぼすでしょう。

 

 

３．それでもオーストラリアに進出・投資する理由

 

 

しかしながら，それでも（上記のビジネス環境を理解したうえでも）日系企業や日本人の方で，オーストラリアに進出や投資する方々は存在します。

 

勿論，その具体的な理由は千差万別ですが，その根底には，「それでもオーストラリアという国が好きだし関わりを持ちたい」という想いがあるように感じました。

 

「（ハワイなどもいいけど）ゴールドコーストの雰囲気が好き」，「この素晴らしい環境にある，このオーストラリアの不動産がほしい」等，とにかくその根底には，オーストラリアへの愛着があり，そこが原動力となって，上記のような逆風が吹く中でもオーストラリアへの進出・投資を行う日系企業・投資家の方が依然として存在するのです（「オーストラリアビジネスは，最悪，儲からなくてよい，そのプロセスや関わること自体が喜びだから」という発想が，少なからずあるようです）。

 

当然と言えば当然のことなのですが，私個人としましては，今回，改めてそのような想いを直接見聞きし，日系企業（しかも，いわゆる中小企業にあたる会社）や日本人投資家の方々の底力を見た気がしましたし（上記のような状況下でも，オーストラリアドルでone million超えの物件を現金一括で購入される方も未だ多く存在するようです），日本にとってのオーストラリアの存在感を強く印象付けられました。

 

また，日本の弁護士として，オーストラリア国内の弁護士や会計士の先生方，さらには日本国内の国際税務を専門的に扱う税理士・会計士の先生方と協力しながら（今回，現地で色々と検討する中で，改めてこの4者間（日豪の弁護士及び会計士・税理士）の協力の必要性を痛感しました），何とかそういったオーストラリアへの進出・投資に前向きな日系企業・日本人の方々に，その想いを実現できるスキーム構築やアドバイスができるようになりたいと強く思った次第です。

 

 

４．おわりに

 

 

今回の投稿は，精神論的な話に終始してしまいました（今，帰路のシドニー国際空港にて作成している関係で，やや感傷的な内容になってしまいました苦笑，どうもすいません）。

 

次回からは，今回の訪問で経験したオーストラリアビジネスや法務の知識を，可能な範囲で投稿していければと考えております。

 

 

最後になりましたが，今回の訪問で大変お世話になりましたHarding Legalのハーディング先生，NAC Australiaの渡辺先生，ゴールドコースト日本商工会議所の皆様，本当に有難うございました！

またお会いできることを楽しみにしております！

 

 

追伸　冒頭の写真は、Gold Coast滞在最終日の朝6時に撮影した、日の出のSurfers Paradise Beachの写真です。極上のひと時でした。。。はい。

 

 

（弁護士　髙橋健）