オーストラリア訪問記(6)
裁判所の休廷期間を使って、1週間ほど、オーストラリアはシドニーを訪問しました。
基本的には、提携先の現地法律事務所の先生方と、現在進行しているオーストラリア法務案件の意見交換であったり、提携先事務所さんが現在抱えているオーストラリア法務案件につき、日本の弁護士として意見を述べたり、純粋にオーストラリア現地法の知見や実務運用を勉強したりさせてもらいました。
また、前回訪問した昨年の9月以降、お会いできていなかったオーストラリア現地の方々と、久しぶりに食事を取りながらお会いし、日々の仕事の話(愚痴)やプライベートなことまで色々とお話ができました。
数年前、ひょんなことから、それまで全く関係をもっていなかったオーストラリアの法務案件を携わるようになった私が、シドニーに「久しぶりにお会いしたいな」と思える方々ができ、またその方々も快く会ってくれるこの状況を思うと、改めて人生って分からないもんだなぁと感じますし、気持ちよく会ってくれる方々に感謝・感謝です。
今回の訪問を通じて得た肝心のオーストラリア法務については、例によってまた次回以降に後回しにして、以下では、今回の滞在で印象に残ったことを、いくつか紹介します。
1.オーストラリアの法律事務所にはWineが常備されている?
オーストラリアの法律事務所や会計士事務所には、Wineが常備されているところが多いようです。
大切なクライアントや、親しい友人などが訪問してきた際、それでもてなすようです。
大きな事務所になればなるほど、Wineの格も上がるんだとか。
日本の法律事務所でWineを上記のような目的で常備しているところは、それほど多くない印象です(お中元・お歳暮で頂いたものが事務所内にある、であったり、専ら自己使用目的で常備されているところはあるかと思いますが)。
何だかいいなぁ、BeerじゃなくてWineというのもいいじゃないか・・と個人的に思ったのですが、どうもオーストラリアの法曹界は、日本の法曹界と比べ、よりマナー・礼節を重んじる、貴族(?)マインドが強い印象を受けます。
例えば、オーストラリアでは、法廷で裁判官を呼ぶ際、「judge」ではなく、「Your honor」と呼ぶことが通常のようです(これは、オーストラリアに限らず、コモンウェルス圏等の国では共通な可能性がありますが)。
また、訴訟の相手方代理人のことを、(正確な言葉は忘れてしまいましたが、確か)「my learned Friend」と呼ぶこともあるようです。「博学なる友よ」という尊重の意味を込めて「Friend」という言葉を使うのだというのです。
同じ法学の道を歩み、厳しい勉強に耐え、ここまでたどり着いた(訴訟で対峙することとなった)同志よ、といった感じなのでしょうか。
特に、訴訟を専門に扱うバリシター同士であれば、なおのことこのような互いを尊重する気持ちを持つのかもしれません。
日本だとどうでしょうか。
日本の裁判も、当然ながら、一定のルール・マナーの中で裁判官や相手方弁護士の立場を尊重し進めていくものですが、とはいえ相手方は相手方ですので、時には法廷や書面において厳しい議論・口撃をすることもあるように思います。
私個人としては、どの裁判でも、クライアントのため必死にあの手この手を考えて主張立証を尽くしますので、少なくとも相手方代理人のことを「learned Friend」と呼ぶ感覚はないなぁと思い、印象に残った次第です。
と書きながら、今ふと心当たりが出てきました。
難解な事件で、相手方代理人から、結構な重厚感のある、しかもこちらの痛いところをついた書面が出された時などは、まずは当然ながら「おぉ・・しんどいぜ・・」と思うのですが、それとともに「しんどい裁判、眠い目を擦りながら、夜な夜な裁判記録と対峙し、この準備書面を書き上げたんだね・・友よ」、「我々の仕事なんて、まさに知的肉体労働と呼ぶにふさわしいよな・・友よ」と思うことがしばしばあります。
種類は違うように思いますが、この時、私も相手方弁護士のことを、心の中で「友よ・・」と呼んでいるようです。
2.シドニーに日本企業の経営するCo-working Spaceが誕生
日本には、ずいぶんとCo-working Spaceが増えた印象ですが、シドニーにも、日本企業さんが経営するCo-working Spaceが最近できました。
doq Pty Ltdさんという日本企業さんが、今年、本社移転をされた際に、新本社の1階にCo-working Spaceを設けられました。
このdoqさんは、日豪ビジネスの架け橋となれれば、という目的で、主に豪州のマーケティングをされているオーストラリア現地の日系企業さんですが、このCo-working Spaceもその「日豪ビジネスの架け橋」の一環として作られたようです。
今回、私も1度、お邪魔しましたが、すでに日豪間のビジネスに携わるオージーのビジネスパーソンが数名、利用されており、今後、単なる場所の利用価値に加え(シドニーは家賃が高いので、その価値も非常に大きいのですが)、情報交換、その後のビジネス発展に資する場所となる可能性を秘めている印象を受けました(まさに日豪ビジネスの架け橋ですね)。
まあ、何といっても、空間がお洒落です。
doqの方々には、何も断りを入れることなく、勝手につらつらと書いてしまってすいません。
3.おすすめのレストラン
最後に、今回訪問したレストランの中から、特におすすめのレストランを2つほど。
1)EIIJU -Japanese fusion cuision-
Pyrmontにある、創作日本料理が楽しめるレストランです。
「シドニーで、これほど繊細に創作された日本料理が頂けるとは・・」と感動しました。
2)ester
Central駅を少し南に下ったところにある、創作オーストラリア料理といった感じでしょうか。
完全に地元オージー向けのお店といった感じで、こちらもシンプルさを基本としつつ随所で細やかな創作がなされており、次回リピート決定です。
最後に・・・
それでも、オペラハウスのBarと景色は、やはり外せません。
弁護士 高橋 健