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医療法務の知恵袋

医療法務の知恵袋(14)【必要な医療事故調査とは】

 

Question

 

医療事故が発生した場合,医療機関は,具体的にどのような調査を行う必要がありますか。

 

 

 

前々回,前回に引き続き,今回も,医療事故調査制度をテーマとして扱いたいと思います。

 

前回は,そもそも医療事故調査を行わなければならない場合とはどのような場合か(入口の問題)をお話しました。

 

 

今回は,その入口を通ったあと,医療機関において実施しなければならない必要な医療事故調査とは具体的にどのような内容かをお話します。

 

 

医療法第6条の11において,医療事故が発生した当該医療機関の管理者は,その原因を明らかにするために必要な調査をしなければならない,とされています。

 

 

しかし,これだけでは,何をもって「必要な調査」かが分かりません。

 

 

そこで,医療法施行規則第1条の10の4第1項においては,以下の通り,調査の方法を具体的に定めています。

 

 

①診療録その他の診療に関する記録を確認すること

※例)カルテ,画像,検査結果

 

②当該医療従事者のヒアリング

※このヒアリング結果は内部資料として取扱い,開示しないこととされています。

 

③その他の関係者からのヒアリング

※例)遺族

 

④解剖又は死亡時画像診断の実施

 

⑤医薬品,医療機器,設備等の確認

 

⑥血液,尿等の検査

※これらの検体の分析・保存が必要とされています。

 

 

医療機関は,以上の6つの側面から,今回の事象(医療事故)を丁寧に分析・調査していく必要がある,とされています。

 

 

もっとも,上記の6つは,あくまで調査の「視点」が示されたに過ぎず,その後,その視点からどの程度掘り下げる必要があるのか,については法令等からは明らかではありません。

 

 

今後,事故調制度の運用実績が積み重なっていくことで,それらが明らかになっていくものと思われます。

 

 

 

弁護士 髙橋 健

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