相手方が数百万円程度の損害賠償しか認めなかったが,2500万円の賠償が認められた事案
本事案は,交通事故の被害者の後遺障害11級であることを前提に,加害者に対して,金2900万円程度の損害賠償を請求した事案ですが,加害者側は,後遺症は14級程度であると主張し,損害賠償としては多くとも数百万円程度であると主張したことから,やむなく訴訟を提起しました。
つまり,被害者は11級,賠償金2900万円を主張し,加害者は14級,賠償金数百万円程度を主張し,双方の主張が対立した事案でした。
この事案は,被害者の脊椎の一部が圧迫骨折し,変形したことについては争いがないものの,その部分は運動機能に影響を与えないのではないか,したがって,労働能力の喪失は認められないのではないか,という主張を加害者側がしてきた事案であり,医学的に難しい問題を含んでいる事案であったことは確かです。しかし,私たちのご依頼者である被害者は,実際に仕事に困難をきたし,配置転換をされることで給与の減額も認められた事案であり,当事務所としては,できるかぎりの救済を勝ち取りご依頼者の困難を少しでも軽減したいとの思いでした。
そして,1年程度の期間,訴訟での主張立証を行った結果,裁判所は,後遺障害については当方の主張する内容が正当であることを前提とした和解案を提示し,加害者側保険会社もこれを承諾してくれたことから,ご依頼者は,当事務所の弁護士費用を除いても,金2500万円程度の損害賠償金を獲得することができました。
この事案は,加害者側保険会社が一定の論理的理由をもって損害賠償金額を低く設定した事案であって,弁護士による主張立証がなければ,そのまま,低い金額の損害賠償しか認められなかった事案であると思われます。当事務所としては,100頁程度の主張書面や,医学文献を裁判所に提出したことで,(もちろん,和解ですので,相手方保険会社側の理解もあってのことですが)上記のような結果を獲得できたもので,ご依頼者にも喜んでいただくことができ,胸をなでおろすことができました。
(弁護士 牧野誠司)