怪我が治るまでは定期的な受診を続けることが重要
交通事故で怪我をされた方の中には、「仕事が忙しいからあまり病院に行けません。まだ痛いのですが、我慢して仕事に行っています。」とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。確かに、仕事をしながら頻繁に通院することは大変なことです。しかし、実際にはまだ怪我が治っていないのに、病院に行くことを我慢してしまうと、思わぬリスクがあることに注意してください。
交通事故で怪我をした場合、すぐに病院に行って診察を受ければ、事故直後の怪我の状態が診断書や診療録といった形で記録されます。また、その後も医師の指示に従って定期的に診察を受け続ければ、治療経過が記録されます。このように、事故から完治(もしくは症状固定)までの記録が残されていれば、加害者や保険会社も怪我の内容や治療経過を把握できるため、後日、加害者や保険会社から正しい賠償金をスムーズに支払ってもらえる可能性が高くなります。
一方、怪我が完治していないのに病院に行くことを我慢してしまうと、その間の怪我の状態が記録されません。そうすると、加害者や保険会社は、「しばらく病院に行っていないということは、もう怪我は治ったのではないか」と勘違いしてしまい、正しい賠償金を支払ってもらえなくなるリスクが高まるのです。
このように、交通事故で怪我をしてしまった場合には、我慢せずにきちんと通院をして治療を続けた方が示談のときにトラブルが生じることを回避することができるのです。もちろん、必要以上の頻度で病院に通う必要はありませんが、完治(もしくは症状固定)までの間は、医師の指示に従って定期的に通院を続けることが大切です。
(弁護士 松本政子)