車の時価と修理代の関係

交通事故で車が大きく損傷を受けた場合、見積書を見ると修理代がかなり高額になってしまう場合があります。

このような場合、もし修理をしても修理代の全額が加害者や加害者が加入する保険会社から支払われない可能性があるので注意が必要です。

 

交通事故にあって、車が損傷を受ければ、被害者は車を修理して、加害者や加害者が加入する保険会社に対して修理代の弁償を要求します。

もっとも、車の本質的構造部分に重大な損傷を受けた場合、もはや修理では対応できませんから被害者は車を買い替えるしか方法がなくなります。

後者の場合、被害者は、原則、車の時価相当額から売却代金を控除した金額を損害として請求することになります。

 

しかし、技術的に修理が可能な場合であっても、車両時価額に買替諸費用を加えた金額よりも修理代が高額になる場合、法律上「経済的全損」と評価され、買替差額が損害額として認定されます。

このような場合、被害者が高額な修理代を支払って修理をしたとしても、加害者や加害者が加入する保険会社から支払われるのは買替差額が上限になってしまいます。

 

車の時価は、車種・年式・型などから、その目安が客観的に算出できます。

ご自身の車の損傷状況が、法律上「経済的全損」であると評価されるケースかどうか悩まれた場合は、お早めに弁護士にご相談下さい。

 

（弁護士　松本政子）