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オーストラリアビジネス法務(19)-ビジネスイノベーション&投資ビザ-

弁護士 髙橋健

 

今回は、オーストラリアにてビジネスや投資を展開しながら、永住を目指してビザを獲得される方であれば、検討対象となることの多いBusiness Innovation and Investment visa (ビジネスイノベーション&投資ビザ)Subclass 188(Provisional)(以下「188ビザ」といいます。)を取り上げたいと思います。

 

この188ビザは、その中でいくつかのStreamに分かれていますが、ここでは、そのうち比較的よく検討されるビジネス・イノベーション・ストリームと通常の投資家ストリームにフォーカスして検討していきます。

 

 

1.2ステップが必要であること

 

 

この188ビザは、まずSkillSelectを通じて「Expression on Interest」(関心証明。以下「EOI」といいます。)を申請し、州・準州政府から招待を受けたうえで、188ビザを正式に申請する流れとなります。

 

 

つまり、まずは、EOIに関する申請(書面提出)をし、州政府から188ビザの申請に関する招待を受けるステップを取ることが必要となります。

 

この招待を受けて、はじめて188ビザの申請をする、ということとなります。

 

なお、188ビザ申請は、上記招待を受けた後、60日以内に行わなければならないため(しかも、Australian Government Department of Home Affairs のHPでは、”This time will not be extended.”とされていますので、厳格な期間といえます。)、EOIに関する申請は、その後の188ビザの申請準備も完了した時点で行われるのが通常のようです。

 

 

2.188ビザの要件について

 

 

州政府から申請の招待を受けた後の188ビザの申請における要件ですが、大別すると、ビジネス・イノベーション・ストリームや投資家ストリームといったストリームの種類に関係なく必要となる要件と、各ストリーム毎に必要となる要件に分けられます。

 

 

そして、後者の各ストリーム毎に必要となる要件で、コアとなる要件は、以下の通りとなります(Australian Government Department of Home Affairs のHPのOverviewページで、”You must”として列挙されている要件)。

 

<ビジネス・イノベーション・ストリーム>

 

● score at least 65 on the points test  (ポイントテストで最低65ポイントを取得できること)

● provide proof of your business success (annual turnover, ownership stake) (年間売上高、株式所有割合等を含め、ビジネス成功を証明できること)

● You, your partner, or you and your partner together, have total net business and personal assets of at least AUD800,000 (合法的に得たビジネス並びに個人資産の合計が80万豪ドル以上あること)

 

<投資家ストリーム>

 

● make an investment of AUD1.5 million in an Australian State or Territory (150万豪ドルをオーストラリアの州・準州政府に投資すること)

● score at least 65 on the points test (ポイントテストで最低65ポイントを取得できること)

● have net business, investment and personal assets of at least AUD2.25 million (最低で合計225万豪ドルの資産があること)

 

 

上記の各要件自体には、さらに具体的な基準等があり(例:年間売上高や株式所有割合の具体的数値)、また上記の要件以外にも、様々な要件があります。

 

 

3.永住権へのファーストステップ

 

 

冒頭でも記載したとおり、オーストラリアに永住することを検討される方にとって、このビジネスイノベーション&投資ビザは、その第一歩となり得るビザです。

 

永住権のビザは、別にSubclass 888という形でビザがあるのですが、今回取り上げる188ビザを取得すれば、その後、永住権ビザ(同888ビザ)への申請が可能になります(勿論、その申請時点で、他の888ビザの要件も具備する必要がありますが)。

 

 

4.最後に

 

 

ビザに関する要件(visa conditions)は、各国の政治・経済情勢等によって変動しがちなものですが、特にオーストラリアのビザは、その傾向が顕著な印象を受けます。

 

また現在は、何よりコロナによる影響も大きい分野です。

 

そのため、ビザの分野は、基本的に、その申請手続きを含め、当職の提携しているオーストラリア現地の専門家とともに最新の情報を踏まえて法務サポートさせていただく必要があります。

 

 

具体的にご相談等ありましたら、遠慮なくご連絡下さい。

 

 

 

本内容は、執筆当時の情報をもとに作成しております。また、本コラムは、個別具体的な事案に対する法的アドバイスではなく、あくまで一般的な情報であり、読者の皆様が当該情報を利用されたことで何らかの損害が発生したとしても、かかる損害について一切の責任を負うことができません。個別具体的な法的アドバイスを必要とする場合は、必ず専門家(オーストラリア現地法に関する事項は、オーストラリア現地の専門家(弁護士等))に直接ご相談下さい。

 

 

 

【弁護士 髙橋 健】

 

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