交通事故証明書の取得方法

  • 車両事故
  • 武田 雄司

■ポイント

1.申請用紙は警察署・交番・派出所(及び自動車安全運転センター)で取得

2.申請先は最寄の自動車安全運転センターへ

3.申請前には必ず警察へ事故の届出を(警察への届出がない事故では発行されない)

4.人身事故については事故発生から5年、物損事故については事故発生から3年をそれぞれ経過したものについては原則交付されないため申請期間に注意

第1 交通事故証明書とは?

自動車安全運転センター(※)が発行する証明書で、次の事項を自動車安全運転センターが確認したことを証明する文書です。

※自動車安全運転センター…「自動車安全運転センター法」に基づき国家公安委員会の認可を経て設立された法人であり、「交通事故に関し、その発生した日時、場所その他内閣府令で定める事項を記載した書面を、当該事故における加害者、被害者その他当該書面の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる者の求めに応じて交付すること。」が業務の一つと規定されています(同法第29条第1項第5号)。

① 事故発生日時

② 事故発生場所

③ 事故当事者の氏名・住所・生年月日・車種・車両番号・自賠責保険の有無・保険証書番号

④ 事故類型

このように交通事故証明書は、①~④の事項について立証する資料にはなりますが、損害の種別やその程度、事故の原因、過失の有無とその程度を明らかにする資料ではありません。これらの事項については、医者の診断書や警察が行う実況見分調書等の資料によって証明をしていく必要があります。

第2 交通事故証明書が必要な場面

主には、自賠責保険や任意保険において保険金の支払いを請求をする際に、交通事故証明書が必要になります。

もっとも、任意保険に加入し、自己の保険会社の担当者が加害者に対して保険金請求の対応をしてくれる場合には、通常当該保険会社の担当者が取得するため、自身で取得する必要はないでしょう。

この他に必要になる場面としては、「道路における交通事故が原因で死亡した方や著しい後遺障害のある方の子女などのうち、経済的な理由で修学が困難な方に学資を貸与して、教育の機会均等を図り、社会有用の人材を育成することを目的」として設立された公益財団法人「交通遺児育英会」(HP:http://www.kotsuiji.com/index.html)から奨学金の貸与の申請をする際に必要とされていたり、加害者として交通事故の損害賠償金を支払う際に、経費算入するための一資料として必要になる場面等が考えられます。

第3 交通事故証明書の取得方法

1.申請主体

交通事故証明書の申請をすることができる者は、交通事故の加害者、被害者、交通事故証明書の交付を受けることについて、正当な利益のある者(例:損害賠償の請求権のある親族、保険の受取人等)と定められています(自動車安全運転センター法第29条第1項第5号)。なお、委任状があれば、代理人による請求も可能です。

2.申請期間

交通事故証明書は、人身事故については事故発生から5年、物損事故については事故発生から3年をそれぞれ経過したものについては原則交付されないため注意が必要です。

3.申請用紙

申請用紙(郵便振替申請用紙又は窓口申請用紙)は、自動車安全運転センターの各事務所のほか、警察署・交番・駐在所等に備え付けてあります。

なお、京都には、京都府警察本部自動車運転免許試験場内(郵便番号:612-8486、住所:京都市伏見区羽束師古川町647-1、TEL:075-631-7600)に自動車安全運転センターの事務所があります。

4.申込方法

以下の3つの方法により申請が可能です。

① 郵便振替による申込

郵便振替用紙に必要事項を記入のうえ、最寄りの郵便局(振替窓口)に手数料を添えて申し込む方法。交付手数料は1通につき540円です。

② 直接窓口での申込

センター事務所の窓口において、窓口申請用紙に必要事項を記入のうえ、手数料を添えて申込む方法。交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則として即日交付を受けることができます。事故資料が届いていない場合は、後日、申請者の住所又は郵送希望宛先へ郵送されることになります(他府県での事故の場合は、後日郵送となります。)。

③ インターネットによる申込

事故の当事者のみ申込が可能な方法となりますが、自動車安全運転センターのHP(http://www.jsdc.or.jp/certificate/accident/quest10.html)から、インターネットによる申込が可能です。詳細は、当該HPをご確認ください。

以上

(弁護士 武田雄司)