実況見分調書の注意点

交通事故を起こしてしまったとき、交通事故に巻き込まれたとき、いずれの場合ももしその事故でご自身や相手がけがをしてしまったら、大きなショックを受けるでしょう。

しかし、交通事故で誰かがけがをしてしまった場合、警察は事故当事者から事故の状況を聞き取って実況見分調書を作成しますから、このときは落ち着いて正確に事故の状況を警察に伝えましょう。

実況見分調書とは、事故発生時の状況を事故現場の見取り図をつけて詳しく説明した調書のことです。

交通事故の当事者は、警察官に対して、事故の直前までどのようなルートをどのくらいの速度で運転していたか、事故の相手を認識したのはどの地点か、事故が発生した地点はどこか、などといった内容について説明をします。この内容を、警察官が実況見分調書として完成させます。

ところで、交通事故の当事者間で賠償金について示談や裁判をするときには、どのような状況で事故が発生したかということが非常に重要なポイントになります。

それは、事故状況によって、それぞれの当事者が相手に損害を賠償すべき割合（これを「過失割合」といいます。）が変わるからです。実況見分調書は、事故状況を、裁判官など第三者に説明する場面で、非常に重要な役割を果たします。

実況見分調書の内容は、正確に作成してもらわないと、後日になってから内容を訂正してもらうことは難しいものです。警察官から、最後に実況見分調書への署名を求められたときは、自分が説明した内容が正しく反映されているかどうか、しっかり確認してください。そして、もし違うところがあれば、きちんと訂正してもらってから署名するようにしてください。

（弁護士　松本政子）