交通違反の点数制度について―具体例―

  • 武田 雄司
  • 過失割合

1.はじめに

前回のコラムでは「交通違反の点数制度」について解説を致しました。

本稿では、いくつかの具体的な交通事故の事例に沿って、点数制度が適用される結果を計算してみたいと思います。

2.具体例

2.1 ケース①―信号待ちをしている車に追突し、被害者に軽傷(治療期間:15日未満)を負わせてしまった場合

・一般違反行為に関する点数

安全運転義務違反:2点

・付加点数

6点

・合計点数

8点

※追突事故として、交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合に該当することが前提です(追突事故では考えにくいところですが、仮に事故が、専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものでなければ、付加点数は「2点」とされていますので、合計点数は4点となります。)。

※被害者の被った傷害の程度に応じて付加点数の点数が決められています(括弧内の点数は、「仮に事故が、専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものでない場合」の点数です。)。

・被害者が死亡した場合:20点(13点)

・傷害事故のうち、当該傷害事故に係る負傷者の負傷の治療に要する期間が3月以上及び後遺障害が存するもの:13点(9点)

・傷害事故のうち、当該傷害事故に係る負傷者の負傷の治療に要する期間が30日以上3月未満であるもの:9点(6点)

・傷害事故のうち、当該傷害事故に係る負傷者の負傷の治療に要する期間が15日以上30日未満であるもの:6点(4点)

2.2 ケース②―スピード超過をして(制限速度の20kmオーバー)運転操作を誤り、路肩に止められていた自転車を損壊した場合

・一般違反行為に関する点数

速度超過(20km以上~25km未満):2点

安全運転義務違反:2点

・付加点数

0点

・合計点数

2点

※一般違反行為に関する点数については、同時に2つ以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする、とされています。

※仮に損壊した物が、「建造物」である場合には、付加点数は「1点」となります。

以上

(弁護士 武田雄司)