企業不祥事の調査における情報提供窓口の役割とポイント
企業不祥事が発覚した際、その原因を特定し再発防止策を講じるためには、内部の正確な情報収集が不可欠です。その一環として、役員や従業員から直接情報を提供してもらうため、「情報提供窓口」を設置する場合があります。
1 情報提供窓口の目的
情報提供窓口の設置にはいくつかの目的があります。
まず、不正行為や問題の詳細を把握するにあたり、当事者やその関係者から、細かな点を含め内部情報を収集することが目的として挙げられます。
また、情報提供者が報復や不利益を恐れることなく意見を述べられる安全な場を確保することも目的の一つであり、これにより、調査の透明性や信頼性を高めることが可能です。
2 情報提供窓口の設置期間
情報提供窓口を設置する場合、不祥事の規模や調査内容等に応じて、適切な設置期間を設定する必要があります。数週間から数か月程度設置することが一般的ですが、調査の進展や提供された情報の質等に応じて、柔軟に期間を延長することも検討すべきです。
3 情報提供窓口を設置する場合の留意点
情報提供窓口は、単に設置すればよいというものではなく、設置に際しては次のような点に留意する必要があります。
まず、情報提供者の匿名性を確保する仕組みを整えることが非常に重要です。この点が確保されていない場合、情報提供窓口を十分に機能させることは困難と言えます。具体的には、弁護士等の第三者機関を窓口にするとともに、情報の取扱いに関して厳格な守秘義務を設け、情報提供者のプライバシーが侵害されないよう配慮する必要があります。
さらに、情報提供の目的や活用方法についても予め明確にしておき、全従業員に対して、窓口の意義、設置期間、情報提供の方法、匿名性等について事前に周知することも重要です。
4 まとめ
情報提供窓口は、問題の解明に向けた重要な手段のひとつですが、以上のとおり留意すべき点もあります。企業不祥事が発生した場合には、迅速に調査を行ったうえで再発防止策の立案・実行まで繋げる必要がありますので、企業不祥事に関してお悩みやご懸念がありましたらお気軽にご相談ください。