プロアマ規定の現在
プロアマ規定とは何か,ということと,そのプロアマ規定が設けられている理由については,別の知恵袋でお話したとおりですが,ここでは,プロアマ規定についての現在の問題意識や,今後の方向性について少し話をさせていただきたいと思います。
プロアマ規定には,それを大切にしなければならない理由も確かにあるということはお話した通りですが,以下のような理由で,プロアマ規定に問題点があることも,現在では共通の認識になりつつあります。
①そもそも,元プロとアマチュアの「交流」自体を禁止しているような現在のプロアマ規定のあり方は過剰反応ではないか。
②プロ野球選手やプロ野球球団の,野球や,選手の健康管理についての知識経験はやはり優れたものがあり,特に選手の健康管理の方法などは,学生野球にも行きわたらせなければならないのではないか。
③さらに,「プロ野球」の中にも,NPBに属している12球団以外にも,独立リーグなどの小規模球団が登場してきており,それらの独立リーグの選手も,プロアマ規定の「プロ」とされているが,そういった小規模の球団のプロ選手は,社会人野球の選手よりもよほど経済力も低く,商業性も低いのではないか。
④ひるがえって考えてみれば,プロ野球の選手にはなったものの,多額の報酬を得ることもなく退団することになった選手も星の数ほど存在するのであり,そういった貴重な人材を学生野球の世界で活かすことができないというのは大きな問題ではないか。
そこで,このプロアマ規定については,改定を求める声も高まっているところですが,日本学生野球連盟も,現在のプロアマ規定を前提にしつつも,元プロの選手に,所定の「研修」(さほど大きな負担ではなく,数日間の研修)を受けさせることで,元プロの選手でも学生の指導に当たることができるようにするなど,プロアマ規定の事実上の緩和政策を取っています。
しかし,個人的には,研修という制度自体は良いと思いますが,それに加えて,日本学生野球連盟自体が,プロを招いて学生や指導者向けの講習会を企画し,日本学生野球連盟を通じてのプロ―アマの交流を図るということがもっとあっても良いのではないかと思っています。その方が,日本学生野球連盟の目の届く範囲で,プロの良いところだけを,学生や学生の指導者に伝達できるわけですし,日本学生野球連盟のふところの広さも示せるのではないかと思います。
PROFILE
弁護士牧野 誠司
どのような事件に対応させていただくときでも、「牧野弁護士に依頼して良かった」と言っていただけるよう、そのご依頼者のために最良の解決を目指して努力させていただくことを日々の指針としています。