スポーツ法務

a professional lawyer of sports

パブリシティ権のちから(効力)

弁護士 牧野誠司

前の知恵袋で,パブリシティ権とは,最高裁によると,「有名になったことでパワーアップした氏名・肖像に関する権利だ」と説明しました。つまり,プロスポーツ選手などの有名人は,普通の人が持っていないパワーアップした権利を持っているんですね。羨ましいような,(望まない注目も浴びて)気の毒なような・・・。

 

さて,では,そのパワーアップした権利(パブリシティ権)で何ができるかと言いますと,勝手にその有名人の氏名や肖像を使ってパブリシティ権を侵害した人に対して損害賠償請求ができたり,その使用行為を差し止めできたりするというのが,日本の裁判所の考え方です。

 

しかし,ここで,単に氏名や肖像を使っただけでは損害賠償や差し止めができるわけではありません。たとえば,私が,サッカーでアウトサイドシュートを決めたときに,「フラビオ・コンセイソン!!!」と叫んでも(皆さん知りませんかね),まぁ,フラビオコンセイソンさんのパブリシティ権は侵害しないのです。パブリシティ権を侵害したというためには,その氏名や肖像を,まずは商業的な用途に使用することが必要になります。そして,商業的な目的というだけではまだパブリシティ権の侵害には足りなくて,最高裁(平成24年2月2日判決)曰く,「①肖像等(←氏名+肖像です)それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に」パブリシティ権の侵害となるということです。

 

ですので,仮に私が,自分の弁護士としての親しみやすさの宣伝のために(つまり,ある意味で「商業目的」で),自分のゴールシーンをYOUTUBEにアップして,そこで「フラビオコンセイソン!!!」と叫んでいても,まぁ,これは,フラビオコンセイソンさんの氏名と肖像そのものを顧客誘引のために使っているわけではないので,ぎりぎりセーフということになります。

 

つまるところ,パブリシティ権というのは,他人が,自分に承諾なく,自分の名前や肖像を,それ自体を顧客誘引の道具として直接利用した場合に,損害賠償や仮処分ができる権利というということです。

 

では,ものまね芸人が,有名人の名前を使ってものまねするのは,どうなんでしょうねぇ。今のところ,判例はないようですが(あったらすみません。この点はまだ深くリサーチしていません)。ものまね芸人にものまねをしてもらえるのは光栄なことですので,むやみやたらにパブリシティ権を主張するとかえって損なのであまり問題になっていないのだと思いますが,しかし,ある有名人を侮辱するようなものまねを主たる芸にしているような場合は,「肖像」の理由はセーフかも(あくまでものまねなので,本人の肖像ではない)しれませんが,氏名の利用については,アウトかもしれません。

 

弁護士 牧野誠司

 

PROFILE

牧野 誠司

弁護士牧野 誠司

どのような事件に対応させていただくときでも、「牧野弁護士に依頼して良かった」と言っていただけるよう、そのご依頼者のために最良の解決を目指して努力させていただくことを日々の指針としています。

弁護士 牧野誠司 のその他の専門知識