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トレーニング デイ

  • 牧野誠司
  • 寄り道コラム

高橋先生に相当真面目なコラムを書いていただけましたので、ちょっと砕いていきたいと思います(ちなみに、高橋先生は見た目ちょっと若々しいのですが、コラムを見ればわかるように根が非常に真面目な人物でして、そこが皆さんに愛されるゆえんなのかもしれません)。 

さて、トレーニング デイという題名の映画があります。
この映画、イーサンホークとデンゼルワシントンが共演(二人とも麻薬取締専門刑事の役)しているというすごい映画なんですが、日本では公開時にあまり盛り上がらなかったんじゃないでしょうか。
しかし、これはほんとにすばらしい映画でして、私は完全にハマって大学卒業前後で何回も繰り返し見てました(あのころは時間があったなぁ・・・)。 

これがどんな映画かは、アマゾンなどで調べていただければと思いますが、とにかく、デンゼルワシントンがすごいすごい・・・、怖い怖い・・・、悪い悪い・・・。
デンゼルワシントンは、「フィラデルフィア」(これもすごい映画ですよね)の弁護士役など、きれいな役どころもものすごいうまいですが、はっきり言って、このトレーニングデイのデンゼルワシントンの存在感と演技はずば抜けてます。
デンゼルワシントン自身も、演じててめちゃくちゃ楽しかったんじゃないでしょうかね。
あぁ、今思い出しただけで鳥肌が・・・ぶるっ・・・・。そして、イーサンホークの素朴な正義感と、焦りっぷりが、デンゼルワシントンとのコントラストでまた素晴らしいんです。 

さて、この映画の中で、まだまだ「青い」という設定のイーサンホークに、デンゼルワシントンがこんなセリフを言います。 

「It’s not what you know, it’s what you can prove.」(←斜め文字のところにアクセントがあります。イッツナット ワッチュウノウ、イッツワット ユウキャンプルーヴ、ですね) 

日本語訳をすると、「お前が何を『知っている』か、じゃなくて、お前が何を『証明できるか』だ」ということになるんですが、このセリフ、弁護士の仕事ではとても重要なポイントなんです。 

訴訟の当事者であるご依頼者は、その事件の真実を実際に体験して知っているから、「真実はこうなんだから、(賢い)裁判所は真実に沿った判決を出してくれるでしょう」と思い込んでしまう傾向にあります。
つまり、事件の当事者にとっては、真実が当たり前のように頭の中にあるので、それをわざわざ「立証しなければならない」という発想を持ってらっしゃらないのです。
でも、裁判官は事件を実際に体験したわけではなく、また、最初からあなたの味方をしてくれるわけでもない公正な第三者ですので、あなたが裁判官に口だけで伝える真実は、裁判所にとっては真実ではなく、単に「一方当事者の嘘かもしれない言い分」にしかすぎないわけです。
あなたの知っている真実(what you know)を裁判官に信じてもらうには、あなたは、できるだけ客観的な証拠でそれを立証(prove)しなくてはならないわけです。なので、It’s not what you knoe, it’s what you can pvove なのです。ということで、ご依頼者との打ち合わせ中に、私の頭の中にはときどきデンゼルワシントンが出てきます。 

とにかく、この映画は面白いので、機会があったらぜひご覧ください。 

そもそも、イーサンホークの映画って、なぜか「日本では爆発しないけれども名作」っていうのが多いと思うんですよね。「ガタカ」とか、知らない人が多いと思いますが、根源的なテーマをうまく表現しているかなり良い映画だと思います。ガタカは、イーサンホークと元奥さん(そのときは奥さん)のユマ・サーマンの共演してる映画なんですが、こういうちょっと屈折した役をやらせるとイーサンホークの右に出る人っていないんじゃないかと思います(屈折してるくせに、まっすぐっていう役)。あと、まさかまさかの工藤有貴(かつてのウメッシュガールですね)との共演を果たした(?)「ヒマラヤ杉に降る雪」という映画もむちゃくちゃ見事な映画だったのに、日本ではあんまり知られてないですよね。この映画もイーサンホークは素晴らしいし、工藤有貴の英語も演技もすごかったです。「いまを生きる」もそうですが、冬や、雪の似合う俳優さんですよね。イーサンホーク。 

と言いながら、「一番好きな俳優は?」と聞かれたら、「(春爛漫の)ヒューグラント」と答えてしまうんですけど(笑)。 

さて、そろそろ、中国法務の小窓をこじ開けんといかんですね・・・。
高橋先生、ちょっとカナテコ持ってきて・・・。
なかなか開かん・・・。