韓国籍の方の家族関係の証明手段――韓国での家族関係登録がなされていない場合

相続放棄の際には,相続放棄の申立てを行う者が,被相続人との間で相続人の関係にあることを明らかにするための戸籍等の資料を提出する必要があります。申立人が日本国籍の方の場合は,日本国内の戸籍制度に基づく戸籍を取得することにより,容易に配偶者であることや,親子関係にあること等を明らかにすることができます。

 

他方,韓国籍の方の場合は,日本国内の戸籍には登録されておらず,韓国における家族関係登録制度に基づく家族関係証明書等の資料を,日本各地にある領事館にて取得する必要があります。ところが,日本で生まれ育った在日コリアンの方々の中には,韓国での家族関係登録を行っておらず,家族関係証明書等がそもそも存在しないという場合もあります。

 

このような場合に,家族関係をどのように証明するかという点が問題となりますが,

①夫婦関係については,婚姻届を日本国内において提出している場合には,婚姻届受理証明書を役所にて取得することで,夫婦関係を明らかにすることができます。その他,外国人登録原票(外国人登録法の廃止により,市町村から法務大臣に送付されているため,行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき,外国人本人(又はその法定代理人)が法務省に対して開示請求可能)を取得するという方法も考えられます。

②親子関係については,出生届を日本国内において提出している場合は,提出した役所に申請することで,出生届記載事項証明書を取得することができます。同証明書には,父母の姓名,生年月日,本籍地,住所が記載されており,これにより親子関係を証明することが可能です。

 

今回は韓国籍の方の家族関係の証明方法についてご説明しましたが,次回は朝鮮籍の方の家族関係の証明方法についてご説明いたします。

2018.08.31玄政和