相続放棄申述期間の起算点ー「自己のために相続の開始があったことを知った時」
「突然聞き覚えのない債権者から「相続債務に関するご連絡」などという書面が届いて数千万円を請求されている」というご相談がありました。
書面を確認すると、ご相談者の叔父様が生前抱えていた債務に関する請求で、日付は叔父様がお亡くなりになられてから約1年後となっておりました。ご相談者は、叔父様がお亡くなりになったことは知っていましたが、そのような債務を抱えていたとは知りませんでした。叔父様の奥様に確認したところ、奥様やそのお子様方(ご相談者からすると従兄弟)は既に相続放棄をしていたことが分かりました。こうして、ご相談者が相続人になっていることが分かったため、その後必要書類の収集等の相続放棄の申述に必要な手続を速やかに行い、相続放棄を実施しました。書面を送付してきた債権者に対しては、弁護士から相続放棄を実施した旨の連絡を行い、その後は債権者からの連絡(請求)は一切来ておりません。
相続放棄には、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内の期間制限がありますが、亡くなった方の配偶者と子以外の方は、当該期間制限は「お亡くなりになったことを知った時」から開始するわけではありません。例外はありますが、配偶者と子が相続放棄をしたことを知った日が「自己のために相続の開始があったことを知った時」になることが多いです。本件でも、お亡くなりになったのを知ってから約1年経過していましたが、「お父様の奥様とお子様が相続放棄をしたことを知った日」(=「自己のために相続の開始があったことを知った日)から3ヶ月以内に手続を行うことで、無事に裁判所に相続放棄を受理されることができました。
弁護士 相良 遼
2020.05.08相良遼