未成年者の相続放棄
「元夫が亡くなり、最近税金を滞納していたことが分かりました。元夫との間には子どもがいますが、未成年者です。未成年者の相続放棄はどのように行うのでしょうか。」といったご相談がありました。
未成年者の相続放棄を行う場合、未成年者が相続放棄の判断をするのは適切ではないため、法定代理人(親権者)が代わりに相続放棄の申述をします。もっとも、法定代理人が子の相続放棄の申述をする場合、子と法定代理人の利益が相反する行為(利益相反行為と言います。)でないかどうかの確認が必要です。利益相反行為であるにもかかわらず、そのまま法定代理人が子の相続放棄の申述を行うと、未成年者の相続放棄は無権代理によって行われたものとして、無効となるためです。
本件の場合、ご相談者は被相続人がお亡くなりになられた時点ですでに離婚されていたため、ご相談者は相続人ではなく、ご相談者のお子様のみが相続人でありました。この場合、ご相談者がお子様の相続放棄を代わりに行ったとしても、ご相談者の相続分が反射的に増えるという関係になく、利益相反行為には当たらない場合でした。当職らにおいて利益相反行為に該当しないことを確認の上、お子様のみの相続放棄の申述を行い、無事に受理されました。
未成年のお子様の相続放棄をお考えの場合、上記のように利益相反行為に該当しないかどうかの確認が必要ですので、一度専門家にご相談ください。
弁護士 仲野 恭子
2021.03.30仲野恭子