相続放棄後は固定資産税の支払義務はある?請求が来た場合の対処法も紹介
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相続放棄を行ったにもかかわらず、市区町村から固定資産税の納税通知が届くケースは少なくありません。「すでに放棄したのに、なぜ請求が来るのか」「支払う必要があるのか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
固定資産税は、毎年1月1日という賦課期日の時点で誰が所有者だったかを基準に課税され、その判定は登記簿や固定資産課税台帳の記載をもとに行われます。相続放棄の事実がこれらの情報に反映されるまでには時間差があるため、放棄が受理された後でも納税通知書が届くことがあるのです。
本記事では、相続放棄と固定資産税の関係を法的な観点から丁寧に解説し、誤請求への適切な対応方法や、不要不動産を手放すための選択肢についても詳しくご紹介いたします。
1、相続放棄と固定資産税の関係とは?
(1)相続放棄すると固定資産税の支払い義務はなくなる
① 相続放棄とは財産を一切受け継がなくする手続き
相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産を一切受け継がないという意思表示を家庭裁判所に行い法的に認めてもらう手続きです。プラスの財産(預貯金・不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金・未納税など)もすべて放棄することになります。
この相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。この3か月を「熟慮期間」といい、相続するか放棄するかをこの間に決めます。熟慮期間を過ぎると単純承認をしたものとみなされ(民法921条2号)、原則として放棄が認められません。
ただし、被相続人に負債があることを知るきっかけがなかったなど、事情によっては3か月を過ぎた後でも相続放棄が受理される場合があります。固定資産税の納税通知書が届いて初めて不動産の存在を知ったというケースも、これにあたる可能性があります。
② 固定資産税は1月1日時点で固定資産を所有している人に課税される
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋を所有している人に対して、市区町村が課税する税金です。この1月1日を「賦課期日」といいます(地方税法359条)。年度の途中で不動産を手放しても、その年度分は賦課期日の所有者が負担する仕組みです。
なお、東京23区内の不動産については、市区町村ではなく東京都が課税を行います。
たとえば、被相続人が12月末に亡くなり、相続放棄を2月に行ったとしても、1月1日時点で登記名義人が被相続人のままであれば、市区町村は1月1日時点の被相続人の法定相続人に対して固定資産税の納税通知書を送付する場合があります。
登記簿上の所有者が賦課期日より前に亡くなっている場合、その年度の固定資産税は、賦課期日の時点でその土地や家屋を現に所有している人に課税されます(地方税法343条2項)。この「現に所有している人」とは、通常は相続人を指します。市区町村が法定相続人あてに納税通知書を送るのは、この規定にもとづく扱いです。
一方で、相続放棄が家庭裁判所に受理されると、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。この効果は放棄をした時点からではなく相続開始の時にさかのぼるため、賦課期日に「現に所有している人」だったという前提そのものが失われ、固定資産税の納税義務も生じません。
相続の開始から年をまたいで放棄をした場合も、結論は変わりません。放棄が受理されれば、その年度分の納税義務を負うことはないと考えられます。もっとも、この効果は家庭裁判所の手続きの中で生じるものであり、市区町村の課税台帳に自動で反映されるわけではないため、放棄が受理された後でも納税通知書が届くことがあります。
(2)相続放棄しても固定資産税の請求が来る理由とは?
① 名義変更の未実施による誤送付の場合
固定資産の所有者として登録されている登記簿上の名義人が変更されていない場合、市町村はその情報をもとに納税通知書を作成します。被相続人が死亡した後、登記名義がそのままの状態であれば、法定相続人宛てに固定資産税の請求が届くのはよくある話です。
相続放棄をしていても、市町村が、登記簿上の名義に基づいて、「相続人=新たな所有者」とみなし、課税を行うというのはよくあります。
② 市町村が放棄手続きを把握していない場合
家庭裁判所で相続放棄が受理されても、その情報は自動的に市町村に伝わるわけではありません。したがって、市町村が相続放棄の事実を知らなければ、法定相続人宛てに納税通知書を送付してしまうのです。
このような場合には、「相続放棄申述受理証明書」などの資料を添えて、市町村に対して事情を説明し、課税対象から外してもらうよう依頼する必要があります。
③ 相続人自身が所有者として課税されている場合
ここまでの2つは、本来は納税義務がないのに通知書が届いてしまうケースです。これに対して、相続人自身が納税義務者にあたるため、請求が誤りとはいえない場合もあります。
ひとつは、相続放棄をする前に、不動産の名義を自分に移してしまった場合です。相続登記を済ませた時点で登記簿上の所有者は相続人自身になるため、固定資産税は所有者として課税されます(地方税法343条1項)。加えて、相続財産である不動産の名義を移す行為は相続財産の処分にあたると判断される可能性が高く、その場合は単純承認をしたものとみなされて(民法921条1号)、その後の相続放棄は認められません。
もうひとつは、被相続人と不動産を共有していた場合です。相続放棄によって被相続人の持分を引き継がずに済んだとしても、もともと自分が持っている持分については、共有者として固定資産税の納税義務を負い続けます。
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2、固定資産税の納税通知書を放置・無視するとどうなる?
(1)督促状や催告書が届く
納期限を過ぎると、納期限の翌日から延滞金が加算されていきます。相続放棄をしている場合でも、支払い義務の有無を市区町村が正確に把握しない限り、延滞金の計算は自動的に進みます。
(2)延滞金が発生する
納期限を過ぎると、法定の延滞金(延滞加算金・延滞利息)が加算されていきます。相続放棄をしている場合でも、支払い義務の有無を市町村が正確に把握しない限り、延滞金の計算も自動的に行われてしまうのです。
(3)財産の差押えなど、法的措置に発展する可能性もある
対応せずに放置し続けた場合、最悪の場合には、差押えや滞納処分といった強制執行の対象になるおそれもあります。たとえ相続放棄をしていたとしても、手続きが進行してしまえば、その後の対応はさらに複雑化します。
3、相続放棄したのに固定資産税の請求が届いたときの対処法
(1)相続放棄の受理証明書を確認する
相続放棄を家庭裁判所に申述し、受理されると、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。さらに、申請をすれば「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらえます。いずれも、申述人が相続人ではなくなったことを示す書類です。
市町村に固定資産税の納税通知書を取り下げてもらうためには、これらの書類を提供することになります。
(2)市町村への相続放棄通知の有無を確認
相続放棄の手続きが完了した後でも、市町村がその事実を知らなければ、通常どおり法定相続人に対して課税手続きが進行します。そして、市町村は、基本的に、登記簿上の名義人とその名義人の相続関係を基に課税を行うため、相続人が通知をしなければ、登記簿上の名義に基づいて、納税通知書等の送付が行われます。
そのため、相続放棄を行った場合は、市町村側に相続放棄をした事実を把握しているかを確認し、もし把握されていなければ、すぐに相続放棄の証明書とともに事情説明を行いましょう。
(3)市町村に書類を提出する
請求書が届いた場合は、慌てずに、以下のような文面と書類を市町村へ提出します。
【提出書類の例】
- 【必須】相続放棄申述受理通知書または相続放棄申述受理証明書の写し
- 相続関係を示す戸籍謄本や除籍謄本
- 固定資産税納税通知書のコピー
- 説明書(簡単な事情説明文)
【説明文の例文】
つきましては、本件納税通知についてご確認いただき、適切なご対応を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
このように、市町村側に相続放棄したことを伝えましょう。
(4)現所有者の申告書が届いた場合の対応
相続放棄をした人のもとに、納税通知書ではなく「現所有者申告書」が届くことがあります。これは、登記名義人が亡くなっている土地や家屋について、現に所有している人に住所と氏名の申告を求める制度で、市区町村の条例にもとづいて行われます(地方税法384条の3)。
相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとみなされるため、この制度でいう「現所有者」にはあたらず、申告義務を負いません。申告書が届いた場合は、放棄をした事実を市区町村に伝えれば、申告の対象から外してもらえます。
注意が必要なのは、この申告を正当な理由なく行わなかった場合、10万円以下の過料が科されることがある点です。放棄をしていないのに申告書を放置すると過料の対象になり得ますし、放棄をしていても連絡をしないままだと、市区町村の側では判断がつきません。届いた書類を放置せず、相続放棄をした事実を伝えることが必要です。
(5)課税処分の取消しを求める
市区町村に事情を説明しても課税が取り消されない場合、納税通知という処分そのものの取消しを求める方法があります。市町村長(東京23区の場合は東京都知事)に対する審査請求です。
審査請求には期限があり、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。納税通知書を受け取ってから何か月も連絡をしないまま置いておくと、この期間を過ぎてしまうおそれがあります。
なお、固定資産の評価額そのものに不服がある場合は、市町村長ではなく固定資産評価審査委員会への審査の申出という別の手続きです。相続放棄をした人が争うのは「納税義務者は誰か」という点なので、通常は審査請求のほうを選ぶことになります。
(6)弁護士に依頼して対応する
以下のようなケースでは、そもそも相続放棄を行うことができるのか、相続放棄をしてもなお納税義務があるのかなどの点について、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
- 相続放棄の期限を過ぎてしまっていた場合
- 他の相続人が放棄しておらず、納税義務を押し付けられる可能性がある場合
- 市町村が放棄を認めず、納税を求めてくる場合
- 固定資産税以外にも相続債務の請求が届いている場合
当事務所にご依頼いただいた場合は、代理人として相続放棄の申述から、市区町村や債権者への相続放棄の通知まで対応いたします。費用は実費込みでお一人あたり6万6000円(税込)、熟慮期間を過ぎているケースでも同額です。
4、相続放棄しても管理責任は残る?放置できない理由
(1)相続放棄後も「相続財産清算人」が決まるまで責任を負う可能性も
相続放棄をすると、その人は法律上「はじめから相続人でなかった」ことになります。ただし民法940条1項は、相続放棄をした人であっても、放棄の時にその財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないと定めています。
建物が傷んで第三者に損害を与えるような事態を防ぐための規定です。相続放棄をしても、手元にある財産については一定の保存義務が残るということになります。
もっとも、上記の保存義務は、相続放棄をしたときに相続財産を「現に占有しているとき」に限られますので、例えば、被相続人とは疎遠であったとか、相続財産が一切手元にないようなケースでは、このような義務を負いません。
逆に、被相続人と同居していた家にそのまま住み続けている場合は、その建物を現に占有していることになるため、保存義務を負います。ただし保存義務は、あくまで財産の現状を維持する義務です。放棄によって固定資産税の納税義務がなくなることに変わりはなく、保存義務があるからといって税金を負担しなければならないわけではありません。
(2)管理責任を回避するには「相続財産清算人」選任申立てをする
相続放棄をした人が被相続人と同居していたり、相続財産を保管していたりする理由で保存義務を負う場合、その義務を終えるには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、選任された清算人に財産を引き渡すことになります。
なお、この立場の人は令和5年3月まで「相続財産管理人」と呼ばれていましたが、同年4月1日施行の改正民法により「相続財産清算人」という名称に変わりました。
残された財産の清算を行う第三者(弁護士など)を裁判所に選んでもらう手続きです。申立てができるのは相続債権者などの利害関係人と検察官で、保存義務を負っている相続放棄者もこれに含まれます。
【申立ての主な流れ】
- 裁判所に申立書を提出
- 審査・選任決定
- 相続財産清算人が選任され、財産を引き渡したうえで清算
清算人に財産を引き渡した時点で、保存義務は終わります。
ただし、この申立てには費用が必要です。収入印紙800円と連絡用の郵便切手のほか、官報公告料として5582円がかかり、相続財産だけでは清算人の報酬などをまかなえない見込みの場合には、申立人が数十万円規模の予納金を求められることもあります。
(3)相続人全員が相続放棄した場合の固定資産税
相続人が全員相続放棄をすると、誰も納税義務を負わない状態になります。放棄によって全員が初めから相続人でなかったものとみなされる以上、賦課期日に不動産を現に所有していた人が存在しないことになるためです。
このとき、残された財産は相続財産法人という扱いになります(民法951条)。利害関係人や検察官の申立てによって相続財産清算人が選ばれた場合は、清算人が財産を換価して債務の弁済にあてる中で、固定資産税も処理されます。清算人が選任されないままであれば、市区町村は徴収できる相手がいないため、滞納分を不納欠損として処理することになります。
気をつけたいのは、先順位の相続人が放棄をすると相続権が次の順位へ移る点です。子が全員放棄をすれば父母などの直系尊属へ、直系尊属もいなければ兄弟姉妹へと順に移り、その人たちのもとに納税通知書が届くことになります。親族間の連絡が取れていないと、思いがけない人に請求が届く事態になりかねません。
5、相続放棄と一緒に知っておくべき固定資産税対策
相続放棄は、不要な負債や不動産の引き継ぎを避けるための有効な手段ですが、相続に際しては、固定資産税をはじめとする各種費用や税金への対応まで見据えた対策を取ることが重要です。
また、放棄をしない場合でも「手放したい不動産」をどう扱うかによって、今後の費用負担が大きく変わってきます。
(1)固定資産税の他にかかる可能性のある税金・費用
① 都市計画税・管理費・草刈りなどの維持費
固定資産税だけでなく、以下のような関連費用や維持コストも発生する可能性があります。
- 都市計画税:市街化区域にある土地・建物には、固定資産税に加えて課税される。
- 管理費・修繕費:マンションの共有部分の管理費など。管理組合から請求されるケースあり。
- 草刈り・清掃・防犯費用:空き家や空き地を放置していると、近隣から苦情が入り、行政指導が入ることも。
これらは、仮に相続放棄をした場合でも、上述の管理義務を負う場合には負担を求められる可能性があるため、注意が必要です。
② 被相続人が生前に滞納していた場合の延滞金
被相続人が生前に固定資産税や都市計画税を滞納していた場合、延滞金が発生していることがあります。
相続放棄をしていれば、これらの支払い義務は基本的に回避できますが、以下のような場合には、差押えの通知や強制執行に発展することもあり得ます。
- 相続放棄が無効になった場合
- 放棄前に誤って支払ってしまった場合
- 相続放棄が適切に届出されておらず市町村が放棄を認識していない場合
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、相続放棄後は市町村への通知と確認を必ず行いましょう。
(2)相続放棄せずに空き家・負動産を手放すための選択肢
① 相続登記を経たうえで売却・寄付・譲渡する
「相続放棄まではしないが、負担を減らしたい」という場合、まず検討すべきは不動産の処分(売却・寄付・譲渡)です。
ただし、不動産の処分は、まさに相続するということにほかなりませんので、不動産を処分するためには、相続登記を行い、名義を自分に移す必要があります。この場合は、相続放棄を行うことはできません。市場価値のある不動産なら売却や寄付ができる可能性があります。
② 相続土地国庫帰属制度を活用する
2023年4月からスタートした相続土地国庫帰属制度は、「不要な土地を一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる」制度です。
【主な条件】
- 建物が建っていない土地(更地であること)
- 境界が明確で、争いがない
- 土壌汚染されていない
- 崖地や管理を妨げる工作物がなく、管理に過分な費用や労力がかからない
承認されれば土地の所有権が国に移り、その後の固定資産税や管理費用は生じません。ただし、審査手数料として土地1筆あたり1万4000円がかかるほか、承認後には10年分の管理費用にあたる負担金の納付が必要です。要件や費用の詳細は、田舎の空き家や山林の相続放棄について解説した記事でも扱っています。
なお、この制度を申請できるのは、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した人です。相続放棄をした人は土地を取得していないため、申請することはできません。相続放棄と国庫帰属制度は、どちらか一方を選ぶ関係にあります。
③ 市区町村による無償引き取り制度を活用する
一部の自治体では、使われていない土地・空き家を無償で引き取る制度や、空き家バンクのような制度を設けている場合もあります。
こうした制度は、高齢化や過疎化が進む地域で積極的に導入されている傾向があり、以下のような条件に応じて、自治体側が譲受けてくれることがあります。
- 一定条件を満たす建物や土地
- 継続的な管理が困難な場合
引き取り可否や条件については、不動産が所在する市町村に直接問い合わせてみましょう。
6、相続放棄の前後に固定資産税を払ってしまった場合
納税通知書が届いたときに、とりあえず払っておこうと考える方は少なくありません。しかし、支払いのタイミングと、どの財産から払ったかによって、その後の相続放棄ができるかどうかが変わってきます。
(1)被相続人の預貯金から支払うと相続放棄ができなくなるおそれがある
相続放棄をする前に、被相続人の預貯金を引き出して固定資産税を支払った場合、相続財産の処分にあたると判断される可能性があります。相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなされ(民法921条1号)、その後は相続放棄が認められません。
被相続人の口座からの支払いに限らず、遺品を売却したり、賃料を受け取ったりする行為も同じように扱われることがあります。相続放棄を検討している間は、被相続人の財産に手をつけないことが原則です。
(2)自分の財産から支払った場合は相続放棄できる可能性が高い
一方、相続人が自分自身の財産から被相続人の債務を支払った場合は、相続財産が減るわけではないため、処分にはあたらないと考えられています。裁判例でも、相続人が受け取った死亡保険金という固有の財産から相続債務の一部を弁済した事案について、相続財産の一部を処分したことにはあたらないと判断されています(福岡高等裁判所宮崎支部平成10年12月22日決定)。
もっとも、支払いに使った資金が固有の財産であることを後から説明できる状態にしておく必要があります。被相続人の預貯金と自分の口座の資金が混ざってしまうと、判断が難しくなります。
(3)相続放棄をした後に支払ってしまった場合
相続放棄が受理された後に納めてしまった固定資産税については、還付を求められる場合があります。地方税の過誤納金の還付請求権は、請求をすることができる日から5年を経過すると時効により消滅します(地方税法18条の3)。
ただし、還付が認められるには、その納付に法律上の根拠がなかったといえることが必要です。市区町村の側が賦課決定そのものを取り消さない限り、納付に根拠がなかったとはいえないと判断されやすく、実際に還付を受けられるケースは限られます。納税通知書が届いた段階で支払う前に対応を決めておくほうが、結果として負担は小さくなります。
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相続放棄に関するよくある質問
(1)相続放棄をしたら固定資産税は払わなくていいの?
相続放棄が家庭裁判所で受理されれば、法的には相続人ではなくなるため固定資産税の支払い義務もなくなります。
ただし、市町村が相続放棄の事実を把握していないと請求が届くことがあります。その場合は相続放棄申述受理証明書を提出し、誤請求であることを説明しましょう。
(2)相続放棄をしたら固定資産課税台帳はどうなるの?
相続放棄をしても、固定資産課税台帳の所有者情報は自動的には更新されません。相続放棄後は証明書を提出し、課税対象から除外するよう申し出る必要があります。登記名義が被相続人のままであると、市町村が法定相続人に対して固定資産税を請求するケースがあります。
(3)遺産相続を放棄すると税金はどうなるの?
相続放棄を行うと、被相続人のプラスの財産はもちろん、借金や税金などマイナスの財産も一切引き継がないことになります。したがって、固定資産税の支払い義務もなくなります。
ただし相続税については注意が必要です。相続放棄をしても、受取人として指定されている死亡保険金や死亡退職金は受け取ることができ、これらはみなし相続財産として相続税の課税対象になります。相続放棄をした人には生命保険金の非課税枠が適用されないため、金額によっては相続税の申告が必要になる場合があります。
(4)年をまたいで相続放棄をした場合、その年の固定資産税はどうなるの?
相続放棄が受理されれば、相続開始の時にさかのぼって相続人でなかったものとみなされるため、賦課期日が相続放棄より前であっても納税義務は生じません。ただし、市区町村の課税台帳には自動で反映されないため、納税通知書が届いたら相続放棄申述受理通知書の写しを提出して説明する必要があります。
(5)相続人全員が相続放棄したら固定資産税は誰が払うの?
全員が相続放棄をした場合、納税義務を負う相続人はいなくなります。残された財産は相続財産法人となり、家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合は、清算人が財産を清算する中で処理されます。清算人が選任されなければ、市区町村が滞納分を不納欠損として処理することになります。
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まとめ
相続放棄をすれば固定資産税の支払い義務から解放されますが、相続放棄の手続きが市町村に正しく伝わっていない場合、請求が届くこともあります。
誤って請求を受けた場合は、相続放棄申述受理通知書の写しを添えて市区町村に説明します。それでも課税が取り消されないときは、処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行う必要があります。
支払う前であれば、選べる手立ては残っています。相続放棄の手続き自体をお任せになりたい方、市区町村や債権者への対応まで含めて代理人に進めてほしい方は、当事務所にご依頼ください。
2025.06.17野田俊之
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