相続放棄で土地を手放す方法と注意点|相続放棄以外の選択肢も解説

今回の記事では、相続放棄で土地を手放す方法と注意点について、相続放棄以外の選択肢も含めて簡単にわかりやすく解説します。
1、土地の相続放棄は可能だが、土地の管理義務は残る
相続財産に土地が含まれる場合でも、土地も含めて、相続放棄をすることは可能です。ただし、現にその土地を占有している人(土地を管理、または使用している人)が相続放棄をした場合には、その保存義務(管理義務)が残ります。
その際の土地の保存義務とは、自己の財産におけるのと同一の注意(自身が持っている財産と同じくらいに注意をすること)が必要とされています。
民法940条
2、相続人全員が土地を相続放棄した場合は、相続財産清算人を選定する方法も
相続財産の中に不動産が含まれ、その占有者が保存義務(管理義務)を負うような場合、「相続財産清算人」を申し立て、保存義務から解放されるという方法があります。
(1)相続財産管理人の役割
相続人全員が相続放棄をした場合、家庭裁判所で相続財産管理人が選任されます。
相続財産清算人は、相続財産法人の代表者、あるいは後日現れるかもしれない相続人の法定代理人として土地を管理することになります。これは、土地を管理する人がいなくなると、トラブルが起こる可能性があるからです。
(2)相続財産清算人の具体的な職務
相続財産清算人の職務としては、以下が挙げられます。
- 相続財産を管理する
- 相続人の存否を確定する
- 相続財産から弁済を受けるべき債権者・受遺者を確定する
- 相続人不存在が確定した場合には、相続財産を清算して残余を国庫に引き継ぐ
(3)相続財産管理人の選任方法
相続財産管理人を選任するには、利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)または検察官が、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。その後、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。
3、土地を相続放棄する際の注意点
(1)3カ月以内に相続放棄をする
相続人が亡くなり、自己のために相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをしていただくことが必要です。これは他の相続財産が存在するときも同様です。
期間内に相続放棄をしないと、相続をすべて承認したものとみなされ、相続放棄をすることができなくなってしまいます。早めに対応するのがよいでしょう。
第915条
4、相続放棄以外で土地を手放す方法
(1)売却をする
相続をしたうえで、相続財産に含まれる不動産を売却する、というのも一案です。
相続財産の中に取得を希望する財産があった場合、相続放棄手続きは取れませんので、相続をしたうえで売却をします。
ただし、過疎地の山など売却が困難な場所もありますので、売却ができるかの調査も必要となります。
(2)寄付する
NPO法人や市区町村等に寄付をする、という方法もあります。
ただし、「公共の場として利用できる土地」や「新たに有効活用できる土地」ではない場合、容易には寄付を受け付けてもらえないことが多いため、寄付の条件をしっかりと確認することが必要です。
(3)相続土地国庫帰属制度を利用する
「相続土地国庫帰属制度」は令和5年4月27日より開始された制度です。
土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件のもと、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させることができます。
「相続土地国庫帰属制度」を利用するメリットとしては、以下の通りです。
- 一筆の土地単位で申請することができる
- 国が引き取るための基準が明確である
- 購入相手や寄付相手がいない場合でも利用できる
一方デメリットとして、以下が挙げられます。
- その土地の所在や境界線がはっきりしていないと利用できない
- 現地の写真等の添付が必要である
- 相当額の負担金(10年分の土地管理費相当額の負担金、20万円~)を支払う必要がある
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2025.04.01宮﨑はるか