「その解雇、待った!」問題社員対応に潜むリスクと、顧問弁護士という解決策
「その解雇、待った!」問題社員対応に潜むリスクと、顧問弁護士という解決策
「問題のある社員に、正直辞めてほしい…」 。多くの中小企業経営者が、一度は抱える悩みではないでしょうか。しかし、感情的な判断や自己流の対応は、会社の存続を揺るがしかねない大きなリスクを伴います。日本では、従業員の解雇は法律で厳しく制限されており、そのハードルは極めて高いのが現実です 。
解雇をめぐる厳しい現実:時間と費用の甚大なコスト
もし、解雇した従業員と裁判で争うことになった場合、その解決までにかかる期間の中央値は
1年半以上
にも及びます 。
さらに、会社側が支払うことになる金銭の中央値は
300万円。
ケースによっては2,000万円を超える支払い命令が出ることもあります 。
このような事態は、中小企業にとって経営の根幹を揺るがす大きな打撃となり得ます。だからこそ、問題社員への対応は、法的な知識に基づいた慎重なステップが不可欠なのです。
顧問弁護士と進める、問題解決への正しいステップ
では、どのように対応すればよいのでしょうか。従業員に辞めてもらうためのプロセスと、各段階での顧問弁護士の役割を見ていきましょう。
ステップ1:円満な「自主退職」を目指す
まず検討すべきは、解雇ではなく自主的な退職を促すことです 。この際、退職金の支払いといった条件を提示することもあります 。
しかし、注意しなければならないのは、従業員に退職の意思がないにもかかわらず、しつこく退職を促す行為です 。これは「退職強要」とみなされ、逆に会社が訴えられるリスクを生みます。
【顧問弁護士の役割】 顧問弁護士は、法的に問題のない範囲での交渉方法をアドバイスし、適切な退職条件の設定をサポートします。感情的になりがちな当事者間の話し合いに、法的な観点から冷静な指針を示すことで、円満な解決へと導きます。
ステップ2:やむを得ず「解雇」を検討する場合の万全な準備
自主退職の交渉が難しい場合、最終手段として解雇を検討することになります 。しかし、その前に必ず行うべきなのが、後々の紛争に備えた入念な「下準備」です 。
- 解雇以外の選択肢の検討: 配置転換などで問題が解決できないか、慎重に検討した記録を残します 。
- 注意・指導の「証拠化」: 解雇理由となる問題行動に対し、注意や指導を繰り返し行った事実を「証拠」として残しておくことが極めて重要です 。口頭での注意だけでなく、メールなど形に残る方法で行うことで、「言った言わない」という議論を避けることができます 。
【顧問弁護士の役割】 どのような行為が法的に解雇事由として認められるのか、どのような証拠が有効か、顧問弁護士は専門的な知見から具体的にアドバイスします。日頃から労務管理について相談しておくことで、いざという時に有効な手を打つための準備を、計画的に進めることができます。
【ケース別】こんな時どうする?顧問弁護士がいる安心感
問題行動の内容によって、とるべき対応は異なります。判断に迷うケースこそ、専門家である顧問弁護士の知見が活かされます。
- 従業員による金銭の着服(業務上横領): これは刑法にも触れる可能性のある重大な問題です 。懲戒解雇だけでなく、刑事告訴も視野に入れた対応が必要になります 。
- ハラスメント: まずは関係者へのヒアリングなど、十分な事実確認が不可欠です 。確認できた事実とハラスメントの程度に応じて、注意・指導から懲戒解雇まで、適切な処分を検討する必要があります 。
- 能力不足: 一度のミスで解雇することはできません。注意・指導を繰り返し、改善の機会を与えても改善が見られない場合に、徐々に重い処分を検討していくことになります 。
- 社内不倫: 当事者同士の関係性(上司と部下か、同僚同士かなど)によって対応が変わります 。社内の秩序を乱しているかどうかが、懲戒処分の判断における一つの基準となります 。
- SNSへの不適切投稿・無許可の副業: 会社の秘密漏洩や誹謗中傷であれば、内容の悪質性に応じた処分が考えられます 。一方、副業が会社業務に影響を与えていない場合、処分が難しいこともあります 。
- プライベートでの逮捕(飲酒運転など): プライベートでの行為であっても、会社名が報道されるなど、会社に実害が生じた場合は処分の対象となり得ます 。逆に実害がなければ、処分は難しいでしょう 。
これらの複雑なケースにおいて、法的な根拠に基づき、公平かつ客観的な判断を下すことは容易ではありません。顧問弁護士は、個別の事情を正確に把握し、企業がとるべき最善の道を示します。
「転ばぬ先の杖」としての顧問弁護士
問題が起きてから慌てて弁護士を探すのでは、手遅れになることがあります。日頃から自社の状況を理解してくれている顧問弁護士は、まさに「転ばぬ先の杖」。トラブルの火種が小さいうちに的確なアドバイスを受けることで、深刻な事態への発展を防ぎます。
従業員とのトラブルは、経営に多大な時間とコスト、そして精神的な負担を強います。大切な会社を守り、経営に専念するために、顧問弁護士というパートナーを迎えることを検討してみてはいかがでしょうか。
※これらのご相談について、相手方(従業員)との個別的な交渉や裁判手続に移行しない場合には、毎月の顧問料の範囲内にてご対応可能です。