番号非指定事業者が電気通信番号を使用する事業を行う際の注意点

岡田 信吾

  • 電気通信事業法

電気通信番号(電話番号)を使用して電気通信役務を提供する電気通信事業者は、原則として、電気通信番号使用計画を作成するなどの手続が求められます。電気通信番号の指定を受ける電気通信事業者だけでなく、卸電気通信役務の提供を受けて電気通信番号を使用する電気通信事業者や、固定電話番号を使用した転送電話サービスを提供している電気通信事業者も手続が必要になります。

電気通信番号を使用したサービスを行う事業者は、大きく「番号指定業者」と「番号非指定業者」に分けられます。

番号指定業者は、電気通信番号の割り当て(番号指定)を受けている事業者です。業界の上流にいる大手の携帯キャリア(MNOということもあります。)は総務省から電気通信番号の割り当てを直接うけ、その番号を利用者に使用させています。

これに対し番号非指定業者は、自ら番号の指定は受けず、番号指定業者が提供する電話番号による通信サービスの提供を受け、自分のサービスに用いている事業者であることが多いといえます。例えば、格安スマホや格安SIMを提供している通信会社(MVNOと呼ぶこともあります。)が該当します。他にも、IP電話が使用できるサービスが該当することもあります。

特に、番号非指定業者が電気通信番号を使用する際には、原則として、以下のような手続きが必要となります。

 

1 電気通信番号使用計画を策定する。

番号非指定業者の場合、「標準使用計画によるみなし認定」を受けることができることが多いです(電気通信事業法50条の2第3項)。標準使用計画とは、総務省があらかじめ用意している電気通信番号使用計画の雛形であり、別表1と別表2があります。事業者は、卸元の名前や電気通信番号の種別などを記入するだけでそのまま自分の電気通信番号使用計画として策定することができます。

〈別表1を使用するパターン〉

  • 電気通信役務の内容・電気通信設備の構成等が、卸元電気通信事業者のものの範囲内となる場合(いわゆる単純再販)。
  • 電気通信番号の種別は何でもよい

〈別表2を使用するパターンは以下のいずれも満たす場合〉

  • 「電気通信役務の内容」・「電気通信番号の使用に必要となる電気通信設備の構成図」が、卸元電気通信事業者と異なる場合(別表1を使えない場合)。
  • 使用する電気通信番号の種別が以下のいずれかの場合
  • 固定電話番号【+付加的役務識別番号/緊急通報番号】※ただし、電話転送役務を提供していない場合に限る。
  • データ伝送携帯電話番号【+IMSI】
  • 音声伝送携帯電話番号【+IMSI/付加的役務識別番号/緊急通報番号】
  • 特定IP電話番号【+付加的役務識別番号】
  • IMS

別表1も別表2も条件を満たさず使用できない場合は、みなし認定自体ができません。

また、電気通信番号使用計画は番号の種別ごとに策定しなければなりません(電気通信番号規則5条2項)。

 

2 電気通信番号使用報告をする。

事業開始後、毎年6月までに、使用している電気通信番号の使用状況を総務省に報告する必要があります。様式がいくつかあるので、自社のサービス状況に合わせて使い分けます。この報告をすると、総務省のみなし認定事業者一覧に追加されます。

 

3 法令遵守の確認

卸元事業者の場合、①総務省の公表する認定事業者のリスト等により、提供先事業者が電気通信番号使用計画の認定を受けていることを確認すること、②電気通信番号の使用に関する条件の遵守を契約書等において明記し、提供先との間で合意すること、が求められます。申告を行わないことは、電気通信番号の使用に関する基本的事項の違反になるので、適合命令や認定取消しといった行政処分の対象になる可能性があります。こうした行政処分に従わない場合や、そもそも番号使用計画の認定を受けずに電気通信番号を使用した場合、200万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

卸先事業者の場合、①提供を受けている電気通信役務を自らの電気通信事業の用に供すること、②自ら電気通信番号使用計画の認定を受け、又は受けようとしていることを提供元の電気通信事業者に対して申告する必要があります。申告を行わないことは、電気通信番号の使用に関する基本的事項の違反になるので、適合命令や認定取消しといった行政処分の対象になる可能性があります。こうした行政処分に従わない場合や、そもそも番号使用計画の認定を受けずに電気通信番号を使用した場合、200万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また適切な対応を行っていない場合、提供元の事業者から役務提供を受けられなくなる可能性があります。

 

4 電気通信事業者としての届出(登録)

電気通信事業法で求められる電気通信事業者としての届出や登録が必要になることが多いです。

当事務所では、電気通信番号を使用した事業へのアドバイスも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。