紛争顕在化前の相談の有用性

土井 將

  • 企業法務

事業を営む中では、取引先や消費者、労働者や株主といった外部・内部を問わず様々なステークホルダーとの間で認識の齟齬やクレームが生じたり、場合によってはこれらが法的紛争に発展することがあります。

法的紛争について、弁護士が裁判手続前の交渉や裁判手続において代理人として紛争解決のための協力ができることは勿論ですが、法的紛争に発展する前の段階において、弁護士に予め相談をすることは非常に有用です。

法的紛争に発展した場合、弁護士は、法的紛争に至る経緯の中で生じた事実関係や、収集可能な証拠を駆使して、可能な限りご依頼者の利益を実現できるように紛争解決に尽力します。もっとも、法的紛争になってからのご相談の場合、既にご依頼者にとって不利益な事実や発言、書面が積み重なっていたり、あるいは取得したかった証拠が確保できていなかったり、既に破棄、隠匿等されている等の場合が往々にしてあります。また、この段階から新たに証拠を作成したり、紛争の相手方の言質を取ろうとしても、紛争が顕在化してからでは警戒されて困難なことが通常です。

他方で、法的紛争が顕在化する前の段階でお早めにご相談いただいていた場合、その後の相手方への対応や言動について、可能な限り紛争に発展しないような方法や、万一法的紛争に至った場合でも有利になるような方法を弁護士が助言できます。また、紛争顕在化前であれば、必要な情報や資料にアクセスしやすかったり、相手方の警戒度合いも紛争後よりは低いため、情報収集や証拠保全についての助言も可能です。これにより、そもそも紛争の顕在化を回避できたり、万一紛争に発展した場合でも、少しでも有利に戦える状況になるよう予め準備できたりすることが可能になります。

このような紛争顕在化前の事前の相談は、よりよい結果をもたらしやすくするだけでなく、紛争を回避等することができれば、紛争解決に割くことになる時間的・経済的コストや労力を削減することも可能となります。そして、このような紛争顕在化前の平時の相談については、顧問契約が適しており、かつ、当事務所では基本的に顧問料の範囲で対応しております。