弁護士との顧問契約で法務強化!費用相場・メリット・成功事例を紹介

岡田 信吾

  • 企業法務

「うちの会社にも顧問弁護士って必要?」「契約するとしたら、費用はいくらかかるの?」
法務体制の整備に課題を感じながらも、顧問契約に踏み切れずにいる中小企業やスタートアップは少なくありません。
しかし、契約書の不備や労務トラブル、SNS炎上、取引先との揉めごとなど、企業を取り巻く法的リスクは年々多様化・複雑化しています。こうした時代背景の中で、多くの企業が経営の安定と成長を支える手段として注目しているのが「弁護士との顧問契約」です。
顧問弁護士は、日常的な法務相談から契約書チェック、トラブルの予防や初期対応まで、外部の法務専門家として企業の意思決定を支える存在です。法務にかかる手間と不安を外部の専門家に委ねることで、経営者や管理部門が本来の業務に専念できる体制が整います。
本記事では、顧問弁護士の基本的な役割から、費用相場、契約内容のポイント、実際の導入事例、契約時のチェックリストまで、初めて顧問契約を検討する企業にもわかりやすく解説します。

顧問弁護士の役割

契約書・労務・取引リスクを随時相談できる


例えば、取引基本契約書のリーガルチェック、ハラスメントや解雇対応に関する助言、債権回収時の通知書作成や交渉戦略の検討など、企業が抱えるあらゆる“法的グレーゾーン”に対し、即時に相談できる体制が整います。
スポットで弁護士に依頼する場合と比較して、日常的に状況を把握している顧問弁護士の方が、背景事情を踏まえたアドバイスがしやすく、結果としてコスト面でも時間面でも効率が良くなる傾向があります。

重大なトラブルを未然に防ぐ


顧問弁護士の役割は、単なる“トラブル処理屋”ではありません。むしろ、リスクを「起こさない」ための予防法務こそが、その真価です。
例えば、社員トラブル(未払い残業、セクハラ)、独禁法・下請法違反の回避、SNSによる炎上対策、取引先との契約交渉など、経営に深刻な影響を及ぼしかねない問題について、事前に弁護士のアドバイスを受けることで、損害や混乱を最小限に抑えることができます。

顧問弁護士が必要な企業の特徴

法務体制の未整備や人手不足に悩んでいる企業


「法務は総務が兼任している」「法務担当がひとりしかいない」といった企業では、急なトラブルや複雑な案件に対応しきれないリスクがあります。こうした状況で顧問弁護士がいれば、抜けや漏れのない支援を継続的に受けることができます。

成長フェーズにある企業や新規事業を展開する企業


取引先の拡大、新規サービスの立ち上げ、海外進出といったタイミングでは、契約内容や法的リスクが急増します。成長スピードに法務体制が追いつかず、後手に回ることで大きな損害につながることもあります。顧問弁護士の存在は、こうした変化を“リスク”ではなく“チャンス”に変える力を持っています。

経営者が法的判断に時間を取られている企業


経営者自らが法律相談やトラブル対応に奔走しているケースも多く見られます。しかし、それは経営判断や事業推進に充てるべき貴重な時間を削っているということでもあります。信頼できる顧問弁護士に法務を任せることで、経営者は本来の業務に集中できる環境が生まれます。

業界ごとのニーズ例


顧問弁護士の導入は、業種を問わず幅広い企業で進んでいます。特に以下のような事業者では、法的トラブルが日常的に発生しやすいため、顧問契約のニーズが高まっています。

  • 人材派遣・紹介業:労務トラブル・契約書管理
  • 建設・不動産業:クレーム対応・請負契約書チェック
  • IT企業:利用規約・個人情報保護への対応
  • 製造業:取引基本契約書の整備
  • 小売業:クレーマー対応・消費者対応

顧問契約の費用相場と報酬体系

費用相場は3万円〜10万円程度が中心


顧問弁護士の月額費用は、平均して3万円から10万円程度が相場とされています。ただし、これはあくまで目安であり、実際の料金は提供されるサービス内容や企業の規模、契約の目的によって柔軟に設計されます。

業務範囲とオプション料金に関する注意点


顧問契約に含まれる範囲は「継続的な相談」や「軽度な契約書レビュー」に限られることが一般的であり、それを超える業務については別途費用が発生するケースがほとんどです。

契約前に確認しておくべき重要ポイント


顧問契約のトラブルで多いのは、「想定していた対応と実際が異なる」「費用の見通しが甘かった」というケースです。これを防ぐためには、契約時の確認が肝心です。


とくに確認しておきたいのは以下のような点です。

  • 法律相談に回数や時間の上限があるかどうか
  • 契約上、誰が担当弁護士となるか(固定・ローテーション)
  • 業務範囲に明記された「対象業務」と「対象外業務」の線引き
  • 訴訟対応や出張費用などの発生条件と金額の目安
  • 契約期間の定めや、自動更新・中途解約の条件(例:1ヶ月前通知など)

顧問弁護士を導入するメリット

契約書レビューやトラブルの未然防止で損失リスクを大幅に軽減できる


企業が法的トラブルに巻き込まれる原因の多くは、契約内容の不備や、事前にリスクを見抜けなかったことにあります。顧問弁護士がいれば、定期的に契約書をレビューしてもらうことができ、リスクのある条項を事前に把握・修正できます。
たとえば、損害賠償の範囲が不明確な契約、解除条件が曖昧な合意書、不利な解釈をされる恐れのある条項なども、弁護士のチェックによって事前に手を打つことが可能です。結果として、予期せぬ訴訟や損害発生を未然に防げるという大きなメリットがあります。
また、クレームや内部通報などのトラブルが発生しそうな場面でも、早期の相談によって適切な対応策を講じることができ、問題の拡大を防止できます。これは“守りの経営”を実現するうえで欠かせない視点です。

経営判断に法的な裏付けを与え、スピードと安心を両立できる


新規事業の立ち上げ、外部との業務提携、大規模な契約交渉など、企業にとっての重要な意思決定には、常に法的なリスクが伴います。こうした場面で顧問弁護士がいれば、経営者は判断に迷うことなく前に進むことができます。
たとえば、新サービスの利用規約が現行法に適合しているか、業務委託契約が請負契約と誤認されないか、労働条件通知書の文言が適切かなど、判断に専門性が求められる項目を、すぐに確認できる体制があることは、意思決定のスピードと質の両立につながります。
また、社外向けの説明資料やリリース文のチェック、社内プレゼン資料への法的視点の追加などにも活用することで、企業としての説得力や信頼性を高めることが可能です。

社内法務の属人化を防ぎ、組織的なコンプライアンス体制を整備できる


特に中小企業では、法務業務が経理や総務の担当者に兼務で任されていることが多く、専門的な対応が難しいという課題があります。こうした企業において、顧問弁護士の存在は「社外の法務部門」として、安定的かつ客観的な助言を受けられる存在となります。
また、社内ルールの整備や改定、労働時間管理、ハラスメント研修、情報漏洩リスクの管理など、予防的なコンプライアンス対応も、顧問弁護士が継続的に関与することで制度化しやすくなります。
さらに、法改正や判例変更に関する情報も、必要なときにタイムリーに入手できるため、変化に強い組織体制を築くことが可能になります。

顧問契約前のチェックリスト|失敗しないための確認ポイント


顧問弁護士との契約は、単なるスポット対応とは異なり、長期的なパートナーシップを前提としたものです。だからこそ、契約前にきちんと確認すべきポイントを押さえておくことが、あとで「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためのカギとなります。

契約書の内容は必ずチェックを|業務範囲と料金は明確に


契約締結の際にもっとも重要なのが、顧問契約書の確認です。特に「何をどこまで対応してくれるのか」「どのような費用が発生するのか」といった部分は、細かく明文化しておく必要があります。


契約書には、以下のような情報がしっかり記載されているか確認しましょう。

  • 契約の期間(月契約か年契約か、更新の有無)
  • 月額料金とその内訳(消費税・源泉徴収を含むかどうか)
  • 相談可能な回数や手段(電話・メール・訪問など)
  • 対応業務の範囲(契約書チェック、労務相談など)
  • 対応外業務とその別料金(訴訟や交渉代理、出張対応など)
  • 緊急対応が可能か、その際に別料金がかかるかどうか
  • 守秘義務・利益相反を避ける仕組みの有無
  • 書面にしておけば、お互いの認識違いを防ぎ、トラブルを未然に防ぐことができます。

事前面談で相性をチェック|弁護士に聞いておきたい10の質問


顧問契約は「人」との関係でもあります。契約前の面談や相談機会を通じて、弁護士の対応スタイルや価値観が自社に合っているかを見極めることが大切です。


以下のような質問を投げかけることで、信頼できる相手かどうかが自然と見えてきます。

  • 他の顧問先には、どのような業種や規模の企業がありますか?
  • 顧問契約では、どのような相談がよくありますか?
  • 夜間や休日など、緊急時の対応はどのようにしていますか?
  • 担当弁護士は固定ですか?別の方に代わることはありますか?
  • 顧問料に含まれる業務と、別料金になる業務の違いは?
  • 契約書の作成やチェックは何件まで対応可能ですか?
  • 貴所の強みや専門分野(例:労務・契約・IT法務など)は何ですか?
  • 実際の顧問先での事例があれば教えていただけますか?
  • 定期的な報告やミーティングの頻度はどのくらいですか?
  • トラブルが起きたとき、どのくらいのスピードで対応してもらえますか?


こうした質問に対して、誠実に・明確に答えてくれる弁護士こそ、信頼できる長期的なパートナーとしてふさわしい存在です。

賢誠総合法律事務所の顧問契約


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弁護士40名体制・各分野に特化したサポート


賢誠総合法律事務所では、40名超の弁護士陣が在籍し、それぞれがM&A、IT、労務、知財、国際取引などの専門分野を担当。1社ごとに最適なチーム編成を行い、業界特有のリスクにも柔軟に対応します。
また、面談や登記簿・定款・株主名簿の読み込みを通じて企業理解を徹底し、単なる相談対応にとどまらず、経営方針や将来のビジョンに寄り添った継続支援を提供しています。

全国対応の強み


賢誠総合法律事務所では、メール・電話・Webを通じて相談可能な体制を整備。トラブルの初期段階や判断に迷う場面でも、すぐに弁護士へアクセスできるため、初動対応のスピードに優れています。
また、東京・大阪・京都を拠点としながら全国に対応しており、遠隔地の企業や多拠点展開中の企業にも最適です。加えて、女性弁護士の比率が30%を超える点も、相談のしやすさやダイバーシティの観点からも幅広い対応が可能です。
賢誠総合法律事務所では、豊富な実績と幅広い専門分野に強みを持つ弁護士が対応しています。企業法務・顧問契約の導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。