焼骨の一時預かりについて

1 納骨堂の許可について 「納骨堂」とは,墓地,埋葬等に関する法律において,「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために,納骨堂として都道府県知事(市又は特別区にあっては,市長又は区長)の許可を受けた施設をいう。」と定義されています(同法2条6項)。 そして,宗教法人が納骨堂を経営するにあたっては,都道府県知事等の許可を得る必要があります(詳細については,武田雄司弁護士の「納骨堂の経営許可について」もご参照ください。)。 2 一時預かりについて 他方で,納骨堂については,厚生省の通知により,「墳墓へ埋蔵する以前における一時的な措置として,寺院等の一隅に,焼骨を安置する等のごときは納骨堂として,別段の許可を必要としない」とされています。 つまり,昭和23年9月13日厚生省発衛第9号「墓地,埋葬等に関する法律の施行に関する件」という通知において,「単に,墳墓へ埋蔵する以前における一時的な措置として,寺院等の一隅に,焼骨を安置する等のごときは納骨堂として別段の許可を必要としないこと。但し,焼骨の収蔵が一時的なものであっても,これを継続的に反復して行うものは納骨堂として本法の適用を受ける」とされております。 したがって,宗教法人が,一時的な措置として,焼骨を預かる場合には,納骨堂の経営許可を得る必要はないと考えられます。 しかしながら,「継続的に反復して」一時預かりを行う場合には,原則通り,許可を得る必要があるところ,どのような場合に,許可の必要ない「一時的な措置」に該当するのかという点については,国の基準として,「ある期間を超えれば,許可が必要となる納骨堂に該当する」というような基準が示されているわけではないため,許可の必要ない「一時的な措置」に該当するか否かは,個別具体的な事情によって,判断されることとなります。 具体的には,当該宗教法人が広く一般に募集を行っているか,一時預かりについて使用料を徴収しているか,納骨堂としての施設を設けているかといった諸般の事情から,継続的反復的に(すなわち,業として),納骨堂を営んでいると言えるかどうかという観点から,判断されることになるのではないかと思われます。 3 まとめ  以上の通り,納骨堂の経営については,原則として,都道府県知事等の許可を得る必要がありますが,墳墓へ埋蔵する以前における一時的な措置として,焼骨を預かる場合には,例外的に,許可を得る必要はないとされております。 もっとも,「一時的な措置」と言えるかどうかについては,明確な基準があるわけではなく,個別具体的な事情に基づいて判断されるものであり,また,実際に,無許可で納骨堂を経営した宗教法人が検挙された例もありますので,原則通り,納骨堂の経営許可を得るのが良いと考えます。

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