宗教法人と税法(1)

1.はじめに

寺院等の宗教法人(以下、「宗教法人」といいます。)は、税制上、多くの優遇措置が認められています。例えば、宗教法人が行う宗教活動や公益事業(宗教法人法6条1項)を行う場合については法人税が課されません(法人税法4条1項)。その他にも、法人税を課される収益事業を宗教法人が行う場合の税率が軽減されていたり、固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税が非課税とされていたり、みなし寄付金などの優遇措置が認められています。

以下では、宗教法人におおける適切な会計の必要性について簡単に述べた上で、宗教法人と関係する税法について注意点等を述べたいと思います。

 

2.宗教法人における適切な会計の必要性

(1)宗教法人の会計と個人の会計の区分

宗教法人の会計で、まず気を付けなればならないのは、常日頃から宗教法人の会計と住職等の個人の会計を明確に区別することです。

宗教法人の会計と住職等の個人の会計が明確に区別せずに、混同していたりすると、責任役員や檀信徒の信頼を得ることもできませんし、脱税しているのではないかとの疑念を抱かせることにもなりかねません。また、宗教法人に数々の税制上の優遇措置だ認められていることについて社会の理解を得ることもできません。

そのため、以下の点に注意し、宗教法人の会計と住職等の個人の会計を明確に区別するようにしてください。

① 宗教活動に伴う収入(お布施、奉納金、会費、献金、賽銭、寄附金など)や宗教法人の資産から生ずる収入は、全て宗教法人の収入となります。

② 宗教活動に伴う支出や宗教法人の資産の維持、管理に要する支出は、全て宗教法人の支出となります。

③ 財産についても、宗教法人のものと住職等個人のものとを明確に区分しておくことが必要です。

 

(2)会計書類の作成の必要性

宗教法人法上、宗教法人は、「毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成」し、宗教法人の事務所には、それらの書類及び帳簿を備えつけなければならないとされています(宗教法人法25条1項、2項)。

しかしながら、当分の間、宗教法人が収益事業を行っていない場合やお布施収入などを含めた年間の収入金額(資産の売却による収入で一時的なものは除きます。)が8000万円以下の場合は収支計算書を作成しないことができる、とされています(宗教法人法附則23項)。また、貸借対照表の作成は任意とされています(宗教法人法25条2項3号)。

このように、宗教法人法上は、収支計算書や貸借対照表といった会計書類を作成する必要のない宗教法人があります。

しかし、宗教法人における適切な会計は、税務申告の大前提です。また、責任役員や檀信徒等の宗教法人の関係者に対して、宗教法人の運営状況を説明するためにも適切な会計がなされていることが必要です。

したがって、宗教法人法上、会計書類の作成義務がない場合であっても、会計書類を作成されることをお勧めします。

次回以降では、宗教法人と関係のある税法について注意点等を述べる予定です。

以 上

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