宗教法人の解散(1) (任意解散)

 

1.はじめに

宗教法人の解散とは、宗教人の目的である宗教活動を終了し、財産関係の整理を行う手続(清算手続)に入ることをいいます。解散した宗教法人は、清算の目的の範囲内において、清算手続が終了するまでは存続するものとされています(宗教法人法48条の2)。清算手続に入った宗教法人は清算業務のみを行い、清算手続が終了した時点で消滅することになります。

 

2.宗教法人の解散事由

宗教法人の解散には、宗教法人が自らの意思で解散する任意解散(宗教法人法43条1項)と宗教法人法が規定する事由(宗教法人法43条2項)に基づいてなされる法定解散とがあります。

 

3.任意解散

(1)はじめに

宗教法人は、任意に解散することができます(宗教法人法43条1項)。任意解散は以下のような手続によります。

 

(2)任意解散の内部手続

まず、規則の定めに基づく手続を経ることが必要となります(宗教法人法44条2項)。規則に別段の定めがない場合は、責任役員(会)の定数の過半数で決することとなります(宗教法人法19条)。

次に、信者その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から2か月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告します(宗教法人法44条2項)。なお公告は、規則に定める方法(宗教法人法12条1項11号)で行います。また、信者その他の利害関係人が期間内に意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しる必要があります(宗教法人法44条3項)。

 

(3)清算人の選任

解散後の業務は清算人が行うことになりますので、それまでの代表役員またはその代務者は、規則に別段の定めがない限り、退任することになりますので、清算人を選任することが必要となります。

清算人は、①規則に定めがある場合はその者、②解散の際に、代表役員またはその代務者以外の者を選任したときは、その選任された者、③①または②によらないときは代表役員またはその代務者が清算人となります(宗教法人法49条1項)。

 

(4)任意解散の認証手続

上記(2)の公告期間経過後に、所轄庁に任意解散の認証の申請を行うことになります(宗教法人法44条1項)。解散の認証申請に必要な書類は、①解散認証の申請書、②解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、責任役員(会)の定数の過半数の決議)を経たことを証する書類、③公告をしたことを証する書類となります(宗教法人法45条)。

所轄庁は、宗教法人から申請書を受理した後、審査を行い、手続が適法にさされたと認めたときは認証を行い、認証書を交付します。任意解散の効力は、認証書の交付によって生じます(宗教法人法47条)。

 

(5)解散登記・清算人就任登記

清算人は、解散に関する認証書の交付を受けた日から2週間以内に、宗教法人の主たる事務所の所在地において、解散の登記及び清算人就任の登記をしなければなりません(宗教法人法57条、53条)。

 

(6)所轄庁への届け出

清算人は、上記(5)の登記が完了したときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければなりません(宗教法人法9条)。

    弁護士 荻野 伸一

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