宗教法人の管理・運営(6) (宗教法人規則の変更―2)

1.はじめに

前回は、宗教法人の規則の変更が必要となる3つの場合(①通常の場合、②被包括関係の設定を行う場合、③被包括関係の廃止を行う場合)のうち、①通常の規則変更の場合について述べました。今回は、②被包括関係の設定を行う場合の規則変更について述べたいと思います。

 

2.被包括関係の設定を行う場合の規則変更

(1)宗教法人内部の手続

被包括関係の設定は規則の変更事項ですので、通常の規則変更の場合と同様に、宗教法人の規則に定められている規則の変更手続に従って、被包括関係を設定する旨の決定を行います。

その後、規則の変更の認証申請の2か月前までに、信者その他の利害関係人に対して、規則の変更案の要旨を示して被包括関係を設定する旨を公告しなければなりません(宗教法人法第26条2項)。

この場合の公告方法は、規則に定める方法によります(宗教法人法第12条1項11号参照)。

 

(2)包括宗教団体の承認

また、被包括関係の設定を行う場合には、規則変更の認証の申請前に被包括関係を設定しようとする包括宗教団体の承認を受ける必要があります(宗教法人法第26条3項)。

 

(3)所轄庁の認証手続

宗教法人内部での規則変更手続が終了し、かつ、包括宗教団体の承認を得ると、所轄庁に規則変更の認証の申請を行うことになります(宗教法人法第26条1項)。

この認証申請を行う場合には、通常の規則変更の場合に提出すべき書類に加えて、上記2(1)で述べた公告をしたことを証する書類及び上記2(2)で述べた包括宗教団体の承認を受けたことを証する書類を添えて、認証申請を行ことになります(宗教法人法第27条)。

所轄庁は、認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を宗教法人に通知した後、当該申請に係る規則変更を認証すべきか否かの審査を行うこと(宗教法人法第28条)、当該申請に係る規則変更が要件を備えていると判断したときは、規則変更を認証する旨の決定を行わなければならないこと、これらの決定は当該申請が受理された時から3か月以内になされなければならないこと(宗教法人法第28条2項・第14条4項)等については、通常の規則変更の場合と同様です。

 

(4)被包括関係設定の効力発生

所轄庁が規則変更の申請を認証する決定を行い、認証書を宗教法人に交付した時に被包括関係設定の効力が生じることも(宗教法人法第30条)、通常の規則変更の場合と同様です。

 

(5)規則変更の登記

被包括関係の設定は登記事項ですので(宗教法人法第52条2項4号)、登記を2週間以内に行わなければなりません(宗教法人法第53条)。

なお、この登記は対抗要件としての登記であり、被包括関係の設定の効力自体は生じているのですが、それを登記しなければ、第三者には規則変更を対抗できないこと(宗教法人法第8条)も、通常の規則変更の場合と同様です。

弁護士 荻野 伸一

一覧に戻る