宗教法人の土地の課税について
■ポイント
1.宗教法人の土地を取得・維持するためには不動産取得税・登録免許税・固定資産税が課税されるものの、以下の土地については非課税とされています。
(1)不動産取得税
・宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地
・宗教法人がその設置する幼稚園において直接保育の用に供する不動産
・宗教法人がその設置する博物館において直接その用に供する不動産
・墓地の用に供するために土地(宗教法人に限らない。)
(2)登録免許税
・専ら自己又はその包括する宗教法人の宗教の用に供する境内建物の所有権の取得登記又は同条に規定する境内地の権利の取得登記
・自己の設置運営する学校(幼稚園に限る。)の校舎等の所有権の取得登記又は当該校舎等の敷地、当該学校の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
・自己の設置運営する保育所若しくは家庭的保育事業等の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記
・自己の設置運営する認定こども園の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
・墳墓地に関する登記(宗教法人に限らない。)
(3)固定資産税
・宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地
・墓地
・宗教法人がその設置する幼稚園において直接保育の用に供する固定資産
・宗教法人がその設置する博物館において直接その用に供する固定資産
2.いずれも非課税となるためには、各市役所等に非課税申告書及び事実関係を証明する各種資料(例えば、責任役員会議事録(写)、責任役員であることの証明書、売買契約書等、登記事項証明書(申請の土地分)又は表示登記事項証明書(新築の場合)、公図(写)、実測平面図、境内地内建物配置図、間取図、現地案内図(住宅地図等)、現地写真(現況がよくわかるもの)、宗教法人規則等)の提出が求められることがあります。
第1 はじめに
宗教法人の土地は無税だ、と体感としてお考えの方も多いことと思いますが、全ての土地が無税ということはもちろんありません。
そこで、本稿では、いかなる範囲の土地であれば無税となるのか、その根拠を確認していきたいと思います。
第2 土地の取得・維持にかかる税金
土地の取得・維持にかかる税金としては、次の税金が発生します。
1.取得時
・不動産取得税
・登録免許税
2.維持
・固定資産税
いずれも、一定の要件を充たす宗教法人の土地については無税とされていますが、その要件は次の通り定められています。
第3 宗教法人の無税の根拠規定
1.不動産取得税
「地方税法」
(用途による不動産取得税の非課税)
第73条の4 道府県は、次の各号に規定する者が不動産をそれぞれ当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合には、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 省略
二 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)の規定による宗教法人のこれに相当する建物及び土地を含む。)
三 学校法人又は私立学校法第六十四条第四項の法人(以下この号において「学校法人等」という。)がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する不動産(第四号の四に該当するものを除く。)、学校法人等がその設置する寄宿舎で学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条の学校又は同法第百二十四条の専修学校に係るものにおいて直接その用に供する不動産、公益社団法人若しくは公益財団法人、宗教法人又は社会福祉法人がその設置する幼稚園において直接保育の用に供する不動産(同号に該当するものを除く。)及び公益社団法人若しくは公益財団法人で職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条の規定による認定職業訓練を行うことを目的とするもの又は職業訓練法人で政令で定めるもの若しくは都道府県職業能力開発協会がその職業訓練施設において直接職業訓練の用に供する不動産並びに公益社団法人又は公益財団法人がその設置する図書館において直接その用に供する不動産及び公益社団法人若しくは公益財団法人又は宗教法人がその設置する博物館法第二条第一項の博物館において直接その用に供する不動産
2項 省略
3 道府県は、公共の用に供する道路の用に供するために不動産を取得した場合における当該不動産の取得又は保安林、墓地若しくは公共の用に供する運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤とう若しくは井溝の用に供するために土地を取得した場合における当該土地(保安林の用に供するために取得した土地については、森林の保健機能の増進に関する特別措置法(平成元年法律第七十一号)第二条第二項第二号に規定する施設の用に供する土地で政令で定めるものを除く。)の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
2.登録免許税
「登録免許税法」
(公共法人等が受ける登記等の非課税)
第四条 国及び別表第二に掲げる者が自己のために受ける登記等については、登録免許税を課さない。
2 別表第三の第一欄に掲げる者が自己のために受けるそれぞれ同表の第三欄に掲げる登記等(同表の第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあっては、当該書類を添附して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
(非課税登記等)
第五条 次に掲げる登記等(第四号又は第五号に掲げる登記又は登録にあっては、当該登記等がこれらの号に掲げる登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
一乃至十 省略
十 墳墓地に関する登記
十一乃至十四
【別表第三 非課税の登記等の表(第四条関係)】
名称:十二 宗教法人
根拠法:宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)
非課税の登記等:
一 専ら自己又はその包括する宗教法人の宗教の用に供する宗教法人法第三条(境内建物及び境内地の定義)に規定する境内建物の所有権の取得登記又は同条に規定する境内地の権利の取得登記
二 自己の設置運営する学校(学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する幼稚園に限る。)の校舎等の所有権の取得登記又は当該校舎等の敷地、当該学校の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
三 自己の設置運営する保育所若しくは家庭的保育事業等の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地その他の直接に保育の用に供する土地の権利の取得登記
四 自己の設置運営する認定こども園の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記
備考:第三欄の第一号から第四号までのいずれかの登記に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。
3.固定資産税
「地方税法」
(固定資産税の非課税の範囲)
第348条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
一乃至二の八 省略
三 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)
四 墓地
五乃至八 省略
九 学校法人又は私立学校法第六十四条第四項の法人(以下この号において「学校法人等」という。)がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産(第十号の四に該当するものを除く。)、学校法人等がその設置する寄宿舎で学校教育法第一条の学校又は同法第百二十四条の専修学校に係るものにおいて直接その用に供する固定資産及び公益社団法人若しくは公益財団法人、宗教法人又は社会福祉法人がその設置する幼稚園において直接保育の用に供する固定資産(同号に該当するものを除く。)並びに公益社団法人又は公益財団法人がその設置する図書館において直接その用に供する固定資産及び公益社団法人若しくは公益財団法人又は宗教法人がその設置する博物館法第二条第一項の博物館において直接その用に供する固定資産
第4 手続
例えば、京都市では、次のとおり非課税申告書等の提出をする必要があります。
1.不動産所得税について
京都府HP
http://www.pref.kyoto.jp/zeimu/11600015.html
※非課税申告書の書式等については、総務部税務課別途問い合わせで確認をいただくことになります。
2.登録免許税について
京都市のHP
http://faq.pref.kyoto.lg.jp/faq.asp?faqno=01854&sugtype=6&logid=0
京都府宗教法人の登録免許税法第4条に規定する非課税証明申請
http://www.shinsei.elg-front.jp/kyoto/navi/procInfo.do?govCode=26000&procCode=507
3.固定資産税について
京都市HP
http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000182140.html
以上