社会福祉法人と社会福祉事業

福祉事業の専門法令知識

「社会福祉法人」とは、「社会福祉事業」を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいいます(社会福祉法22条)。

この「社会福祉事業」は、社会福祉法第2条第1項に定められており、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業に分けられます。

第一種社会福祉事業は、例えば、養護老人ホーム(社会福祉法第2条第2項第3号、老人福祉法第20条の4)、特別養護老人ホーム(社会福祉法第2条第2項第3号、老人福祉法第20条の5)、軽費老人ホーム(社会福祉法第2条第2項第3号、老人福祉法第20条の6)が、該当します。なお、施設の詳細は、当事務所のコラム「介護施設の概要」もご参照ください(https://kensei-law.jp/welfare/column/detail/%e4%bb%8b%e8%ad%b7%e6%96%bd%e8%a8%ad%e3%81%ae%e6%a6%82%e8%a6%81/)。

第二種社会福祉事業は、例えば、老人居宅介護等事業(社会福祉法第2条第3項第4号、老人福祉法第5条の2第2項)や老人デイサービス事業等(社会福祉法第2条第3項第4号、老人福祉法第5条の2第3項)が該当します。

このように第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業とは明確に分けられているのですが、この2つの事業の大きな違いは、何と言っても経営主体に限定が付されているかどうかです。第一種社会福祉事業の経営主体は、行政及び社会福祉法人が原則となって、それ以外の民間事業者は、原則として経営を行うことができません(社会福祉法60条)。これに対して、第二種社会福祉事業は、行政及び社会福祉法人に限定されず、それ以外の民間事業者であっても、都道府県知事に届けることによって、事業を営むことができます。

そのため、いわゆる特別養護老人ホーム等は、社会福祉法人のみが経営できることになります。

なお、社会福祉法人が、社会福祉事業を営む場合であっても、介護保険を利用するためには、都道府県知事ないし市町村長の指定を受ける必要なければならないことには注意してください。これについても詳細は、当事務所のコラム「介護保険と事業者の指定」をご参照ください(https://kensei-law.jp/welfare/column/detail/%e4%bb%8b%e8%ad%b7%e4%bf%9d%e9%99%ba%e3%81%a8%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e8%80%85%e3%81%ae%e6%8c%87%e5%ae%9a/)。

弁護士: 横山和之