著作権に強い弁護士への相談ガイド|費用・選び方も解説

岡本 共生

  • 企業法務

自社のコンテンツが無断で使われている。取引先から突然、著作権侵害を指摘する通知が届いた。著作権をめぐるトラブルは、事業を続けている限り、どの企業にも起こりえます。

やっかいなのは、最初の対応を誤ると損害が広がりやすいことです。相手に抗議した内容が後から不利な材料になることもあれば、指摘に慌てて謝罪し、必要のない賠償責任を認めてしまうこともあります。著作権侵害が成立するかどうかは、専門的な判断を要するためです。

この記事では、著作権トラブルへの対応の手順と、弁護士に依頼できる業務、費用の目安、依頼先の選び方を解説します。

当事務所では、著作権を含む知的財産のご相談を受け付けています。対応を判断しかねている段階でも構いませんので、お問い合わせフォームまたはフリーダイヤル(0120-502-408)よりご連絡ください。

著作権トラブルが起きたときの対応と弁護士の役割

著作権をめぐる争いは、放置すると差止請求や損害賠償請求、さらには刑事手続へと発展することがあります。自社の権利が侵害された場合も、逆に侵害を指摘された場合も、事実関係が新しいうちに法的な見通しを立てておく必要があります。

著作権を侵害された場合

自社の文章・画像・動画・プログラムなどが無断で使われていると気づいたとき、最初に確かめるべきは「それが法的に著作権侵害にあたるか」です。

著作権は、特許権や商標権と異なり、登録をしなくても創作した時点で発生します(著作権法17条2項)。このため「登録していないから権利がない」ということはありません。一方で、権利があることと侵害が成立することは別の問題です。典型的な侵害の場面(複製(いわゆるデッドコピーの作成)や翻案(既存の著作物を改変))で、侵害が認められるには、おおむね次の2点が必要とされます。

  • 依拠性:相手が自社の著作物に接して(接する機会があって)、それをもとに制作したといえるか
  • 類似性:表現上の本質的な特徴を直接感じ取れる程度に似ているか

さらに、著作権が保護するのは具体的な表現であって、アイデアやコンセプト、事実そのものは保護されません。似ていると感じても法的には侵害にあたらない場合があるのは、このためです。

なお、相手が投稿を削除すると立証が難しくなります。気づいた時点で、該当ページのURL・画面の記録・確認した日時を残しておきましょう。

弁護士にご相談いただければ、対象物が著作物といえるか、相手の行為が侵害にあたるかを、裁判例に照らして検討します。そのうえで、次のような流れで対応を進めます。

対応ステップ弁護士が行う主な対応内容
著作権侵害の有無の判断著作物の内容と使用状況を精査し、依拠性・類似性の観点から侵害の成否を検討
初期対応の助言証拠の確保方法、相手方への連絡の可否とタイミングを助言
警告・交渉弁護士名義で警告書を送付し、使用の停止や損害の回復を求める
訴訟対応相手方が応じない場合、差止請求や損害賠償請求などの法的手続を検討

相手方とのやり取りは、代理人が引き受けます。

著作権侵害を指摘された場合

第三者から「著作権を侵害している」と指摘された場合は、主張の当否を確かめないまま応答しないことが大切です。通知書には短い回答期限が設けられていることがあり、期限に追われて認めてしまうと、後から覆すのは容易ではありません。

このようなときも、指摘された事実関係を法的に検証したうえで、対応方針を組み立てていきます。

対応ステップ弁護士が行う主な対応内容
指摘内容の妥当性の確認相手方が主張する権利の有無と、その主張に法的根拠があるかを確認
利用行為の違法性の有無私的利用のための複製や、引用等の権利制限規定(30条以下)が適用される余地を含め、侵害の成否を検討
反論・事情説明の方針検討根拠を欠く請求に対し、裁判例をふまえた反論書面を作成
和解または訴訟リスクの評価紛争の長期化を避ける和解案を検討し、必要に応じて交渉を行う

自社側に落ち度があった場合でも、賠償額の抑制や、裁判を避けた解決を目指す交渉は可能です。

回答期限が設けられた通知書が届いている場合は、返答の前にご相談ください。お問い合わせはこちらから受け付けています。

著作権侵害が認められた場合に企業が負うリスク

著作権侵害が認められると、企業は次のような責任を負う可能性があります。想定されるリスクの大きさは、早期に対応するかどうかを判断する材料になります。

区分内容
差止請求侵害行為の停止・侵害物の廃棄などを求められる(著作権法112条)
損害賠償請求民法709条に基づく請求。著作権法114条には損害額の推定規定がある
不当利得返還請求侵害によって得た利益の返還を求められる(民法703条・704条)※損害賠償と選択的であり、実務上は損害賠償請求が一般的
名誉回復措置著作者人格権の侵害では、謝罪広告などを求められることがある(著作権法115条。この場合、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金(2項))
刑事罰10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(併科あり)。法人には3億円以下の罰金が科されうる(著作権法119条)。

刑事罰については、2025年6月1日に施行された改正刑法により、懲役と禁錮が拘禁刑へ一本化されました。著作権侵害罪は原則として親告罪ですが、一部は告訴がなくても起訴できる非親告罪とされています。

差止めが認められれば商品やサービスの提供を止めざるをえず、賠償額以上の損失につながることもあります。

弁護士が入ることで円滑に解決できる理由

著作権の争いは、当事者同士だと感情的になりやすく、やり取りを重ねるほど溝が深まることがあります。代理人が入れば相手方と直接交渉する必要がなくなり、話し合いを法的な枠組みに戻せます。

また、交渉が行き詰まったときに、和解・調停・訴訟のどの手段をいつ選ぶかを判断できることも、代理人を立てる意味の一つです。取引を続けたい相手であれば、関係を壊さない進め方を検討することもできます。

弁護士に依頼できる著作権関連の業務内容

著作権に関する法務は、紛争対応だけではありません。契約書の整備や利用規約の見直しといった平時の業務が、そのままトラブルの予防につながります。

著作権契約書の作成・チェック

自社が制作したコンテンツや、外部に依頼した成果物の著作権をどう扱うかは、契約書に明記しておく必要があります。とくに業務委託では、著作権の帰属を定めていないかぎり、制作物の著作権は原則として制作した側に残ったままです。発注した企業が、納品物を自由に改変したり二次利用したりできないという事態が、ここから生じます。

弁護士に作成やチェックを依頼すれば、取引の実態に合わせて必要な条項を整えられます。相手方との条件交渉が必要な場面でも、譲れる部分と譲れない部分を見極めたうえで進められます。

契約の種類想定される内容
著作物利用契約コンテンツの使用範囲・期間・対価を明確化
業務委託契約成果物の著作権の帰属先と、著作者人格権の取扱いを定める
ライセンス契約他人の著作物を使用する際の条件と制限を規定

利用規約・業務委託契約などのリーガルチェック

ユーザーが投稿できるWebサービスやアプリを提供している場合、投稿物が第三者の著作権を侵害する可能性を前提に規約を組み立てる必要があります。権利侵害の申告を受けたときの削除手続、投稿者の責任の所在、事業者が負う責任の範囲を定めていないと、申告を受けるたびに個別対応を迫られることになります。

既存の規約についても、事業内容の変化や法改正に合わせた見直しが欠かせません。サービス開始時に作った規約のまま運用だけが拡大し、実態と条文が食い違うことがあります。

規約の整備や契約書のリーガルチェックは、顧問契約の範囲内でご依頼いただけます。詳しくは顧問弁護士サービスのご案内をご覧ください。

著作権に関する訴訟対応・交渉支援

訴訟に至った場合は、訴状や答弁書の作成、主張と証拠の準備、期日への出頭まで、代理人が対応します。

訴訟の前段階でも、弁護士名義での警告書の送付、損害賠償や差止めに関する交渉、和解条件の検討といった支援が可能です。訴訟は解決までに時間と費用を要するため、交渉の段階で折り合える余地があるかを先に検討します。

著作権を弁護士に依頼する場合の費用相場

弁護士費用は、依頼内容と案件の難易度によって変わります。前提として、弁護士報酬の統一基準は2004年に廃止され、現在は各事務所が自由に料金を定めています。以下に示すのはあくまで目安です。事務所や案件によって幅があります。

初回相談料とスポット対応費用

相談料は時間制をとる事務所が多く、30分5,500円(税込)程度を目安とする例が見られます。初回相談を無料としている事務所もあるため、相談前に確認しておくとよいでしょう。

単発の依頼を受ける「スポット対応」の場合、契約書の簡易チェックや相手方への連絡文書の作成で、1件あたり2万〜5万円程度が一つの目安です。

費用項目相場の目安備考
初回相談料30分5,500円(税込)程度無料としている事務所もある
スポット対応費用1件あたり2万〜5万円程度契約書チェックや初期対応など単発の依頼

紛争解決(交渉・訴訟)時の弁護士費用

交渉や訴訟を伴う案件では、着手金と報酬金が発生するのが一般的です。着手金は依頼時に支払う費用で、10万〜50万円程度が目安です。報酬金は解決によって得られた経済的利益に応じて支払うもので、10〜20%程度とする例が見られます。

訴訟になると、争点の数や証拠の量に応じて費用は増えていきます。交渉の段階で解決できれば、費用と時間の双方を抑えられます。

項目相場の目安備考
着手金10万〜50万円程度案件の難易度や対応範囲により変動
報酬金経済的利益の10〜20%程度解決内容に応じた後払い
実費・日当別途発生印紙代・郵券・出張時の日当など

契約書作成・チェック時の料金目安

契約書を新たに作成する場合は1通あたり5万〜15万円程度、既存の契約書を確認して修正案を示すリーガルチェックは1万〜5万円程度で対応する例が見られます。

項目相場の目安備考
契約書の新規作成1通あたり5万〜15万円程度条項数や内容の複雑さによって変動
リーガルチェック1万〜5万円程度修正案の提示を含む

顧問契約という選択肢

契約書のチェックや規約の見直しが年に何度も発生する企業では、都度依頼を重ねるより顧問契約のほうが費用を抑えられる場合があります。

当事務所の顧問弁護士サービス「Your Best Lawyer」は、企業規模に応じた定額制です。次の対応が月額の範囲に含まれ、相談ごとに追加料金は発生しません。

    • 一般的な契約書のリーガルチェックと各種ひな形の提供
    • 電子メール・電話・Web会議での法律相談
    • クレーム対応、紛争案件や不祥事案件のご相談

      月額顧問料は、企業規模に応じて次のとおり設定しています。

      企業規模の目安月額顧問料(税込)
      〜20人程度(売上1億円未満)7.7万円以上
      〜100人程度(売上5億円未満)11万円以上
      〜300人程度(売上30億円未満)22万円以上
      300人以上(売上30億円以上)33万円以上

      上記は目安で、想定される業務量に応じて別途お見積もりをすることもあります。代理人として交渉や訴訟に対応する場合、顧問契約を締結いただいている企業には標準報酬から15%以上の割引を適用しています。

      費用の見込みは、ご相談内容をうかがったうえで事前にお見積もりをお示しします。お問い合わせフォームからご連絡ください。

      著作権に強い弁護士を選ぶ際のチェックポイント

      著作権は、対象となる著作物の種類や業界によって論点が大きく変わります。依頼先を検討する際は、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。

      対応実績や専門性の確認方法

      まず確認したいのは、知的財産の案件をどの程度扱ってきたかです。音楽・出版・映像・ソフトウェアなど、対象となる分野によって争点も交渉の進め方も変わります。

      確認する項目内容の例
      過去の対応実績音楽・出版・映像・Webコンテンツ・ソフトウェアなどの知的財産案件
      論文・講演・メディア実績著作権や知的財産に関する執筆・講演
      所属団体や専門研修知的財産法関連の団体への所属・専門講座の受講歴

      当事務所では、解決事例を実績・事例と専門知識のページで、所属弁護士の経歴を弁護士紹介のページで公開しています。ご検討の材料としてご覧ください。

      対応分野の確認(音楽・生成AI・Webなど)

      著作権が問題になる場面は広く、生成AIによる制作物の取扱いや、動画・SNSでの利用のように、従来なかった論点も加わっています。自社の事業がどの領域に属するかを踏まえて、その分野の相談に対応できるかを確認しておきましょう。

      分野論点の一例
      音楽楽曲の無断利用・管理事業者を通じた利用許諾・二次利用の条件
      生成AI学習データの利用・生成物の著作物性と権利の帰属・ライセンス条件
      Web・SNS・動画投稿物の権利処理・削除請求への対応・プラットフォームの規約との関係

      相談のしやすさと連絡体制

      著作権トラブルでは、回答期限のある通知書が届くなど、急を要する場面もあります。連絡がつくまでに数日かかるようでは、対応が後手に回ります。相談の手段が複数用意されているか、担当者が不在のときに誰が対応するかは、依頼前に確かめておきたい点です。

      当事務所では、メール・電話・Web会議でのご相談に対応しています。顧問契約を締結いただいている企業は、予約をいただかなくても担当弁護士に直接ご相談いただけます。また、案件ごとに複数の弁護士が関与する体制をとっており、担当者の不在によって対応が滞ることはありません。

      企業が使える著作権の公的相談窓口

      弁護士に依頼する前に、公的な窓口で情報を得るという方法もあります。ただし、窓口によって対象者と扱える範囲が決まっているため、使い分けが必要です。

      法テラス(民事法律扶助)の対象

      法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助は、無料法律相談と弁護士費用等の立替を行う制度として知られています。ただし、利用できるのは個人だけです。法テラスの案内には「援助の対象は、国民又は日本に住所を有し適法に在留する外国人個人の方です。会社や組合等の団体がご利用いただくことはできません」と明記されています。

      個人であっても、収入と資産の要件を満たす必要があります。2026年3月時点の基準(生活保護の基準に定める一級地)では、単身者で手取り月収200,200円以下、現金・預貯金180万円以下が目安です。企業が事業活動に関する著作権トラブルで利用できる制度ではありません。

      中小企業・知的財産の相談窓口

      企業が利用できる無料の窓口としては、次のようなものがあります。

      窓口対象内容
      ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)中小企業・個人事業主日本弁護士連合会と各弁護士会による弁護士との面談予約サービス。多くの地域で初回30分の相談料が無料(一部地域は30分5,500円)
      知財総合支援窓口(0570-082100)中小企業等独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が全国に設置。弁理士や弁護士による支援を受けられる
      東京都知的財産総合センター(03-3832-3656)都内の中小企業東京都中小企業振興公社が運営。著作権も相談の範囲に含まれる
      著作権テレホンガイド(03-5333-0393)一般著作権情報センター(CRIC)による無料の電話相談
      文化庁の相談窓口権利者インターネット上の海賊版による著作権侵害への対応が中心

      公的窓口で対応できない範囲

      これらの窓口は、制度や一般的な考え方についての情報提供が中心です。たとえばCRICの著作権テレホンガイドは、紛争になっている事案や紛争が生じる可能性のある具体的な事案は対象外とされています。

      つまり、相手方との交渉、警告書への回答、自社の契約書や利用規約の個別のチェックといった、企業が実際に判断を迫られる場面は、公的窓口では扱えません。制度の概要を知る目的では有用ですが、具体的な対応が必要な段階では弁護士への相談が必要になります。

      すでに相手方とのやり取りが始まっている場合は、お問い合わせフォームまたはフリーダイヤル(0120-502-408)よりご相談ください。

      当事務所の著作権・知的財産に関するサポート体制

      対応分野と体制

      当事務所は2010年に設立し、現在40名を超える弁護士が在籍しています。企業法務を中心に、知的財産法務とIT法務を取扱分野に含みます。顧問契約は300社を超え、ご依頼企業の規模は東証プライム上場企業から個人事業主までさまざまです。

      案件は複数の弁護士で担当します。担当者の異動や退職があっても、事業内容や過去のやり取りを把握した弁護士が引き続き対応するため、前提を一から説明し直す必要がありません。

      拠点は東京(丸の内)・大阪(淀屋橋)・京都(伏見)の3か所です。Web会議を活用し、全国からのご相談に対応しています。英語・中国語・韓国語に対応する弁護士も在籍しており、海外企業との取引に関するご相談も承ります。

      これまでの解決事例は実績・事例と専門知識のページで公開しています。

      契約書・利用規約の整備支援

      著作権のトラブルは、契約書や利用規約の定めが不十分なまま運用が続いたときに起こりやすくなります。事業の実態に合わせて書面を整えておけば、権利の帰属や利用条件をめぐる争いの多くは避けられます。

      当事務所では、契約書の新規作成から、運用中の契約書・規約の見直しまで対応しています。単発のご依頼も、顧問契約の範囲内での継続的なご依頼も承ります。

      ご相談の方法

      ご相談は、メール・電話・Web会議で承ります。電話の受付は9時から22時まで、土日は20時までです。お問い合わせフォームからのご連絡には、担当者より1営業日以内に返信いたします。

      著作権トラブルで迷ったときの相談先

      著作権のトラブルは、自社の権利が侵害される場合と、意図せず第三者の権利を侵害してしまう場合の双方が起こりえます。いずれも、侵害が成立するかどうかの判断には専門的な検討が必要で、最初の対応が結果を左右します。

      紛争が起きてからの対応だけでなく、契約書や利用規約を整えておくことも弁護士に依頼できる業務です。生成AIや動画プラットフォームを使った制作では、権利の帰属や利用条件について定めておくべき事項が増えます。

      警告書が届いた、自社のコンテンツが無断で使われている、契約書の著作権条項に不安がある。こうした段階でも構いませんので、お早めにご相談ください。