お泊りデイサービスには旅館業法上の許可が必要か

福祉事業の専門法令知識

 旅館業法では、旅館業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を取得しなければならないとされています(同法3条1項)。お泊りデイサービスでは、利用者が指定通所介護事業所等に宿泊することになるため、旅館業法の許可を得なければならないのか?という疑問が生じます。この疑問については、「京都市指定通所介護事業所等における宿泊サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例」Q&Aにおいて、「介護事業の一環と考えられることから、旅館業法の適用外とします。」と回答されています。これは、旅館業法上の許可を得なければならない「旅館業」が、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいうと定義され(同法第2条1項)、「旅館・ホテル営業」とは施設を設け宿泊料を受けて人を宿泊させる営業であり(同条2項)、「宿泊」とは寝具を使用して旅館・ホテルを利用することとされていますが(同条5項)、お泊りデイサービスは指定通所介護事業所等を利用した介護事業の一環であり、「旅館業」にはあたらないということだと解されます。

 ただし、日中のデイサービスの利用者ではない者を宿泊させる場合や,デイサービス以外の設備でお泊りデイを実施し,宿泊料に相当する費用を徴収する場合は旅館業法による許可対象となります。

《参照:「京都市指定通所介護事業所等における宿泊サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例」Q&A

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000212/212138/qa.pdf

弁護士: 斉藤聡子