福祉事業とコンサルティング契約

福祉事業の専門法令知識

 これから福祉事業を立ち上げようとする際、あるいは、現在運営中の事業を経営改善したい、という場合など、コンサルタントに依頼するという場面も生じると思います。

 その際の注意事項についてご説明いたします。

1 福祉事業におけるコンサルティング契約の内容

  どのような段階におけるコンサルティングなのかにより、その内容は異なります。

  まず、事業計画段階なのか、開業準備段階なのか、事業開始後なのかにより、必要となる内容が異なってきますので、必要な内容を十分に満たす内容となっているかどうか、確認して適切なコンサルティングを受けることが必要です。

  また、福祉事業に限らず、コンサルティング契約とは、原則として、成果の完成、つまり事業がうまくいくことは内容に含まれておりませんので、結果を保証するものではありません。具体的な内容をコンサルタントから提案を受け、よく相談しながら理解し納得した上で進めていくことが大切です。

2 福祉事業コンサルタントを行うための必要な資格

  福祉事業のコンサルタントを行うために必要な資格があるのでしょうか。

  これについては、特に資格が必要とされているわけではありませんが、近年、民間資格として介護福祉経営士という資格があり、これを取得するためには、介護福祉経営に関する法制度、財務会計、リスクマネジメント、コンプライアンス、人材育成などの知識が必要とされておりますので、介護福祉経営士のいるコンサルタントにお願いする、というのも一つの方法です。

参考 一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会http://www.nkfk.jp/concept.html

3 福祉事業におけるコンサルティング契約の契約書チェック

  上記の通り、どのような段階におけるコンサルティングなのかにより、その内容は異なり、また、どのような事業を希望するかによりその契約内容は異なりますので、一概には申し上げられませんが、納期や損害賠償の定めの有無、内容など、チェックすべき項目はありますので、締結前にきちんと弁護士による契約書チェックを受けられることをお勧めいたします。

4 福祉事業におけるコンサルティング契約の解約

  コンサルティング契約を契約後、解除したいと思われた場合には、原則としていつでも解約することが可能です(民法651条1項)。契約期間が定められている場合でも、解約権の放棄にあたるような条項がなければ、基本的には民法に基づいていつでも解約することができます。ただし、相手方にとって不利な時期にあたってしまうと損害賠償責任を負うことになりますので(民法651条2項)、コンサルティング契約の解約を実行される際には、適切な解約時期を判断するためにも弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護士: 宮﨑はるか