評議員について(1)

福祉事業の専門法令知識

1 改正社会福祉法

 

平成29年4月1日施行の改正社会福祉法(以下「法」といいます。)では、ガバナンス強化の観点から、評議員、評議員会が必ず設置しなければならない機関となりました。そのため、社会福祉法人は、評議員を選任しなければなりません。今回は、評議員・評議員会とは何かについて、ご説明いたします。

 

2 評議員・評議員会とは

 

 評議員会は、すべての評議員で組織され、法人運営の基本ルール・体制を決定するとともに、役員の選任・解任などを通して法人運営を監督する最高意思決定機関として位置づけられました。

 

3 評議員・評議員会の権限と義務

 

 評議員会は社会福祉法に規定する事項と定款で定めた事項に限って決議をすることができます。

 毎会計年度の終了後一定の時期に定時評議員会を開催しなくてはなりません。必要がある場合には、いつでも開催することができます。

 

  • 評議員会の主な権限

・理事、監事、会計監査人の選任、解任

・定款の変更

・計算書類の承認

・社会福祉充実計画の承認

・合併の承認

・役員報酬の決定(定款に定めがない場合)

  • 義務

・善管注意義務

  • 責任

・損害賠償責任

 

4 評議員の員数と任期

 

 評議員の必要員数は、理事の員数を超える数とされています(法40条3項)。理事は6名以上とされていますので、評議員は最低で7名以上必要になります。

 任期は、選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとなりますが、定款に規定することにより6年まで延長することも可能です。

 

5 評議員の資格等

 

法人等は評議員となることができず(法40条1項)、当該社会福祉法人の役員や職員は、評議員を兼ねることができません(同条2項)。

また、評議員同士が配偶者・三親等以内の親族であってはならず(同条4項)、役員の配偶者・三親等以内の親族も評議員になれません(同条5項)。

この他にも、評議員になることができないものについて法に規定されており、評議員を選任するときは、評議員の資格等、特に特殊関係者にあたらないか確認する必要があります。

弁護士: 斉藤聡子