国際離婚(2):外国籍の方が結婚・離婚する場合に適用される法律

国際離婚

2023年2月24日/弁護士 武田雄司

 1.婚姻の届出意思を「婚姻の方式」として法の適用に関する通則法第24条第2項に基づき婚姻挙行地法である日本民法の適用を認めた事例【大阪高判平成28年11月18日判例時報2329号45頁】

(1)事案の概要

 特別永住者の在留資格を有し、日本国内で生活した韓国籍の亡PとYとの間の婚姻について、亡Pの子Xら(控訴人)が、本件婚姻の無効の確認を求めた事案。

(2)論点

 いくつかの論点が存在する訴訟であったものの、国際私法の観点では、
 「届出に係るPの届出意思の有無及び届出の意思が「婚姻の成立」に関する実質的要件として本国法を準拠法とすべきか、「婚姻の方式」に関する要件として、挙行地法を準拠法とすべきか」という点が問題とされた事案。
※日本の役所に婚姻届を提出しただけでは、韓国の家族関係登録簿に婚姻した旨が記載されることはなく、婚姻届受理証明書の発行を受け、これを韓国総領事館の長に提出するか、韓国内の登録基準地の役所に提出する方法で、報告的申告をしなければならない(韓国民法八一二条、八一四条)。そのため、韓国法が準拠法となれば、婚姻が無効となることが前提の議論。

(3)結論

 婚姻の届出意思は「婚姻の方式」として、法の適用に関する通則法第24条第2項により準拠法は婚姻挙行地法たる日本民法となるとされた。
※もっとも、その結論としては、婚姻挙行地法(日本法)上の届出をする意思が同男にないことから、無効とされた。もっとも、婚姻挙行地法(日本法)、各当事者の本国法(韓国法)のいずれによっても婚姻の届出の追認が認められるとして、請求は棄却されている。

2.まとめ

 「婚姻の方式」と分類するか「婚姻の成立」と分類するかで適用する法律が変わる可能性があるため、実際の事案においては、各裁判例も参照した上で、慎重な検討を要する。

以 上

弁護士: 武田雄司