国際離婚(3):中華人民共和国(中国)の法律における婚姻の有効要件
国際離婚
2023年3月24日/弁護士 武田雄司
1.中華人民共和国(中国)の法律における婚姻の有効要件
今回は、中華人民共和国(中国)の法律における婚姻と日本民法における主な婚姻の有効要件の違いを見ながら、日中の違いを確認したいと思います。
(1)結婚年齢
日本では、結婚年齢は18歳とされています(日本民法第731条)。
他方、中国では、男性は22歳以上、女性は20歳以上とされています(中華人民共和国民法典1047条)。
中国では、退職年齢について男女間で差が設けられている等、男女間で年齢要件が異なることも多く、結婚年齢においてもこのような差が設けられていることが特徴です。
(2)再婚禁止期間
日本では、女性に対してのみ、「前婚の解消又は取消しの日から起算して百日」間の再婚禁止期間が設定されています(日本民法第739条第1項)。
※ただし、「前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合」及び「前婚の解消又は取消しの後に出産した場合」についてはこの制限は適用されません(日本民法第739条第2項)
他方、中国では、再婚禁止期間は設定されていないため、このような制限はありません。
(3)手続
日本では、婚姻届を届け出ることによって婚姻の効力が生じます(日本民法第739条第1項)。
中国では、「男女双方は、自ら婚姻登記機関において結婚登記を申請しなければならない。この法律の規定に適合する場合には、登記をし、結婚証を発給する。結婚登記が完了すれば、直ちに婚姻関係が確立する。」と規定されており(中華人民共和国民法典第1049条)、申請をするという点については、日本と共通するものの、結婚をする双方が「自ら」登記申請をしなければならない、という点に大きな違いがあります。
2.まとめ
文化的にも大きな相違がないからか、日本法と中国法における婚姻の要件にはそこまで大きな差異はありません。
とはいえ、中国人女性と日本人男性が結婚する場合、再婚禁止期間の制限があるため、日本では結婚ができないものの、中国では結婚ができるという稀なケースもあります。
そのような稀なケースがあるということは頭に入れつつ、日本と中国のいずれの国で婚姻の手続をするか、ということも検討事項となる点、留意が必要です。
以 上
弁護士: 武田雄司