夫婦の一方が家事育児を全面的に行った上就労していた場合に財産分与の寄与割合を6:4とした審判
財産分与
財産分与では、財産に対する寄与割合を夫婦ともに2分の1と考え、分与割合を2分の1ずつとするのが原則です。
もっとも、この寄与割合を2分の1ずつとしない審判例もあります。
東京家審平成6年5月31日は、妻側が稼働しながら家事労働及び育児をほぼ全面的に担当していた事案において、「申立人(妻)と相手方(夫)の婚姻生活の実態によれば、申立人と相手方は芸術家としてそれぞれの活動に従事するとともに、申立人は家庭内別居の約9年間を除き約18年間専ら家事労働に従事してきたこと、及び、当事者双方の共同生活について費用の負担割合、収入等を総合考慮すると、前記の割合を修正し、申立人の寄与割合を6、相手方のそれを4とするのが相当である。」と判断しました。
この事案では、妻が同居期間中に家事育児を全面的に負担していた上、妻の収入が夫の収入を上回っていたこと等から、妻の寄与割合を6、夫の寄与割合を4とする審判が出されました。
財産分与の調停や審判手続きにおいては、寄与割合を2分の1ずつとすることは当然の前提であるかのように進められますが、争わなければ寄与割合を2分の1とすることを認めたことになり、2分の1ずつ財産分与がされることになります。
ご事情によっては、2分の1とは異なる寄与割合を主張すべき場合もございますので、一度ご相談されることをお勧めします。
以上
弁護士: 斉藤聡子