夫婦財産契約(1)
財産分与
1 夫婦財産契約とは
夫婦財産契約とは、夫婦の財産関係についてあらかじめ行う取り決めを言い、「プレナップ」「婚前契約」とも呼ばれます。契約の具体的な内容は、婚姻費用の負担、離婚時の財産分与などで、婚姻前に締結する必要がございます。
2 夫婦財産契約のメリット
民法755条では、『夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款の定めるところによる。』と定められているとおり、夫婦財産契約を締結しなかった場合、夫婦の財産関係は、民法に従い定まります(民法755条)。
したがって、例えば、夫婦財産契約を締結しなかった場合、夫婦が婚姻期間中に形成した財産は名義を問わず夫婦共有財産として、離婚時に財産分与の対象となり、両者2分の1ずつ帰属することとなりますが(民法762条、768条1項)、夫婦財産契約でこれとは異なる内容で合意した結果、その合意した内容で財産分与を行うことが可能となります。
以上のとおり、婚姻期間中にかなり多くの財産が増加することが見込まれる方にとっては、夫婦財産契約において財産分与の方法を合意しておくことで、離婚時に財産を大きく失わずに済むというメリットがあります。
3 最後に
次回は、夫婦財産契約の登記制度についてご紹介いたします。
夫婦財産契約に限らず、財産分与などでお悩みのことがあれば、当所にてご相談くださいませ。
弁護士: 中川真緒