婚姻費用の金額の決め方
婚姻費用・養育費
1 婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦と子によって構成される家族がその資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を継続するのに必要な費用といいます。具体的には、食費、家賃や住宅ローンの居住費、子の教育費、医療費などが含まれます。
別コラム(婚姻費用の確保)でも少し触れているとおり、具体的な金額については、夫婦間の協議で決めることもできますが、一般的な額については裁判所で作成された養育費・婚姻費用算定表で確認することができます。
2 婚姻費用の金額に争いがある場合
婚姻費用の金額が夫婦間の協議で決めることができない場合、原則として、①子の有無、②子の人数、③子の年齢、④現在子を監護しているのが父母のどちらか、⑤夫婦の収入、によって金額が決まります。
①子の有無
子がいる場合、子を監護する分、生活費が大きくなるため、婚姻費用の金額が大きくなります。
②子の人数
子の人数が多い場合、その分生活費が大きくなるため、婚姻費用の金額が大きくなります。
③子の年齢
子の年齢が大きい場合、それだけ生活費が大きくなるため、婚姻費用の金額が大きくなります。裁判所の婚姻費用算定表では、0~14歳の子、15歳以上の子とで、基準を分けています。
④子の監護
現在子を監護している方の生活費が大きくなるため、婚姻費用の金額を決める上での考慮要素になります。
⑤夫婦の収入
夫婦の収入金額により、婚姻費用の金額が決まります。
ここで考慮される数字は、
・給与所得者の場合、収入金額(額面の金額)であり、所得金額(手取り額)です。源泉徴収票の「支払金額」の額などをご確認ください。
・個人事業主の場合、確定申告書の「課税される所得金額」です。
・給与所得者でもあり、個人事業主でもある場合、収入をどちらか一方に換算する必要があります。給与収入金額を事業収入金額に換算する場合には、給与収入から職業費と社会保険料を控除します。
3 修正要素
基本的には、2記載の要素によって婚姻費用の金額が決まりますが、各家庭に各事情がありますので、婚姻費用の金額を増やしたり減額したりすることがあります。具体的な金額については、是非弁護士にご相談ください。
弁護士: 仲野恭子