家裁調査官による「事実の調査」

親権・面会交流

1 はじめに

夫婦間に未成年の子どもがいる場合、離婚する際には、子どもの親権者をどちらかに指定しなければなりません。
そして、離婚訴訟や離婚調停において、子どもの親権が争われた場合、家庭裁判所調査官による「事実の調査」が実施されることが少なくありません。

2 「事実の調査」とは

家裁調査官による「事実の調査」では、次のようなことが行われます。

① 親の面接調査
  裁判所に提出した主張書面などを参照しつつ、子どもの事情についての聴き取りが行われます。
  これを踏まえて、家裁調査官は具体的にどのような調査をしていくかを検討します。
② 家庭訪問
  家裁調査官が家庭を訪れ、子どもや親と面談するなどしながら、子どもの成育状況、子と監護親との関係、その他の家族との関係、居住環境などを観察します。
③ 子どもの面接調査
  子どもの監護状況や親権に関する意向、成育状況などを把握するために行われます。
  子どもの年齢や事案に応じて、家庭訪問時に行われることもあれば、家庭裁判所で行われることもあります。
④ 関係者との交流観察
  必要に応じて、非監護親や兄弟姉妹、監護補助者などとの交流を観察し、その関係性を直接確認します。
⑤ 第三者機関の調査
  子どもが通う保育園、幼稚園、学校などの機関と面接するなどして、子どもの生活状況や監護状況についての客観的な情報を確認します。

3 調査結果の報告

家裁調査官は、上記のような調査によって得た情報を踏まえ、子どもの成育状況、監護態勢、関係者との関係性などが子どもの福祉に適ったものかを判断し、調査報告書を作成します。
裁判所は、この調査報告書の内容を踏まえて、子どもの親権者について判断することになります。

4 おわりに

裁判所は家裁調査官の調査結果を重視する傾向にあるため、子どもの親権が争われる事案において、家裁調査官の「事実の調査」はかなり重要といえます。
調査結果に事実誤認や評価の誤りなど不合理な点があれば、それらについて指摘し、裁判所に対して、調査結果を重視すべきではない旨主張することになるでしょう。
離婚に際し、お子様の親権についてお悩みのことがあれば、是非弁護士にご相談ください。

弁護士: 森 遼太郎