年金分割の手続方法
年金分割
1 年金分割とは
別コラムで紹介しているとおり、離婚時年金分割という制度があり、離婚をした際、当事者の一方または双方からの請求で、厚生年金と共済年金を対象に、婚姻期間中の年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができます。
2 年金分割の手続方法
年金分割は、離婚届を提出すれば自動的になされるというものではなく、年金事務所に書類を持っていって手続きする必要となります。
合意分割の場合の標準的な書類は以下のとおりです。
①標準報酬改定請求書
②基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにすることができる書類
③婚姻期間等を明らかにすることができる書類
④請求日前1カ月以内に交付された、請求者と配偶者であった者の生存を証明できる書類
⑤年金分割の割合を明らかにすることができる書類
このうち、⑤の書類は、年金事務所のホームページで以下のいずれかと決まっています。
ア 公正証書の謄本または抄録謄本
イ 公証人の認証を受けた私署証書
ウ 年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し署名した書類
エ 審判(判決)の場合…審判(判決)書の謄本または抄本および確定証明書
オ 調停(和解)の場合…調停(和解)調書の謄本または抄本
たとえば、年金分割を定めた公正証書の作成をしなかった場合、ウの合意書が必要となります。さらに、ウの合意書による場合、離婚後にも相手方(それぞれ代理人可)がそろって、年金事務所に直接、合意書を持参する必要があります。
弁護士: 仲野恭子