特別費用の分担について

婚姻費用・養育費

1 特別費用

ご家庭によって、お子様の教育の内容や、それにかかる費用は様々ですが、例えば、私立への進学や特別な習い事等により、一般的な教育費よりも、費用がかさむ場合はございます。このような費用を「特別費用」といい、支払義務者側にも、特別費用を負担させるかについて争いが生じることがあります。

2 負担の可否

特別費用の支払いを認めた審判例等では、支払義務者においても、その費用の支出について承諾していたか否かや、支払義務者に負担させる場合の支払義務者側の負担の程度等を総合考慮して負担の可否が決定されています。

3 負担の割合

支払義務者において特別費用のうち、どの程度の負担をするか否かは、2のとおり個別具体的に決まりますが、①全額を支払義務者が負担する、②収入に応じて按分負担する、③折半で負担する、等の様々なケースがございます。以下のとおり高等裁判所における決定でも考え方がわかれているところです。

②収入按分とすべきとした例-東京高決令和2年10月2日(民商158-6-1465)

抗告人は,学費等の算定に関して,当事者間で二等分すべきと主張する。しかしながら,本件における抗告人の年収が約970万円,基礎収入が約388万円であり,相手方の年収が約130万円,基礎収入が約57万2000円にとどまることを前提とすると,超過分の学費に関しては,特別経費と同様に基礎収入割合とすることが不相当であるとは言えず,この点に関する抗告人の主張は採用できない。

③折半負担すべきとした例-大阪高決平成26年8月27日(判タ1417号120頁)

標準的算定方式による婚姻費用分担額が支払われる場合には双方が生活費の原資となし得る金額が同額になることに照らして、上記超過額を抗告人と相手方が二分の一ずつ負担するのが相当である。

 

 

 

弁護士: 立野里佳