自宅を財産分与で相手方名義のままにする場合の住宅ローンの処理

財産分与

1 自宅は相手方名義のままにするが、住み続けたい場合

財産分与で自宅不動産を取得するとなると、相手方に多額の代償金を支払わなければならない場合もあるため、自宅不動産の取得(自宅不動産の名義をこちら側にすること)をあきらめなければならないこともあります。

 

2 使用貸借権や賃借権の設定

相手方名義のままの自宅に住み続ける場合、使用貸借を設定したり、賃借権を設定したりして、居住権を確保することが考えられます。
また、その期間ですが、例えば、子が小さく、環境を変えたくないという希望で、相手方名義のまま自宅に住み続ける場合、子が成人するまでの期間を設定することが考えられます。
ただし、この場合、相手方名義の住宅ローンが残っており、相手方が住宅ローンの支払を怠れば、抵当権実行により自宅に住むことができなくなる可能性が残ります。

なお、住宅ローン契約の中には、住宅ローンの契約者と住宅に住む者が同じでなければならないという条項が設定されており、これに違反すると住宅ローンの一括返済が求められる可能性があることに注意が必要です。

 

3 相手方が住宅ローン支払いを怠った場合の対処

住宅ローンを滞納したとき、相手方に対して住宅ローン相当額を請求できる、という合意をしておくことが考えられます。相手方に住宅ローンをきちんと支払わなければならないというプレッシャーを与えることができます。

弁護士: 仲野恭子