親権に経済力はほとんど関係ありません

親権・面会交流

「クレーマー・クレーマー」という離婚に関する名作映画では,離婚をする父親が,親権を獲得するために,必死になって仕事を探すシーンがあります(クレーマー・クレーマーについては,こちらのURLもご参照ください。https://kensei-law.jp/%e3%82%af%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%af%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%bc/ )

このようなシーンを見ると,「お金がある方が,親権を獲得するのに有利なの?」という疑問が出てきますし,実際に,世の中では,「経済力がなければ親権を獲得できない」と考えて,悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし,実際には,今の日本の裁判例では,親権をどちらの親が獲得するかということを考えるにあたって,親の経済力は,ほとんど結論を左右しません。極端な話,生活保護を受けている親であっても,親権を獲得することが可能です。

親権をどちらの親が取得するかという問題に関して,裁判所が最も重視するのは,「子ども(たち)は今,どちらの親と一緒に生活しているか。」「子ども(たち)の面倒は,今までどちらの親が見てきたのか」というポイントです。つまり,「現状維持」こそ,裁判所の最も重視するポイントだと考えられております。

そうすると,親権を獲得したい親は,「絶対に子ども(たち)と一緒に暮らす!」ということが,最も大切となってきます。親権をほしいなら,絶対に,子どもたちを手放してはいけませんし,家を出るなら,子どもたちも連れて行きなさい,ということになります。これが,親権の問題で,最も重要なポイントです。

弁護士: 牧野誠司