親権者と監護者

親権・面会交流

1 親権者とは、監護者とは

親権とは、①未成年の子どもの身上の世話と教育を行い、②子どもの財産を管理するための権利義務です。親権の内容は、①の身上監護権、②の財産管理権に大きく分けられます。離婚後は、父母の一方が親権者になります。

子どもが養子縁組した場合には、その再婚相手も子どもの親権者となります。なお、離婚に際して親権者とならなかった者は、子どもが再婚相手の親権に服するようになると、自ら親権を変更する手続きを取ることができません。

 

2 離婚時の親権者の決め方

離婚時に、子どもの親権者を決める必要があります。

夫婦が協議して親権者を決めることもあり、その場合には離婚届に親権者指定欄を記入して提出することになります。

夫婦間の協議で親権者を決めることができない場合には、離婚調停の中で親権者を決めることとなります。調停の際に、親権者を決める考慮要素はたくさんありますが、お子さんの意思などによって決められます。

 

3 面会交流を認めないことが監護権者指定に影響した裁判例

申立人(夫)が相手方(妻)に対し、未成年者の監護者を申立人と定め、引き渡しを求めた裁判例において、

「相手方は,未成年者が乳幼児のころから現在に至るまで,ほぼ専業主婦として未成年者の食事等の身の回りの世話を行ってきている。相手方と未成年者との関係についても良好と認められる。未成年者は,まだ7歳であり,安定的に母子関係を形成することが重要であることからすると,相手方と未成年者を分離させることには問題がある。・・・仮に,未成年者が申立人宅に居住することになると,転校を余儀なくされ,学校生活の継続性が失われることとなる。」と判断しつつも、「しかしながら,他方で,相手方の未成年者の監護養育状況については,次のとおりの事実も認めることができる。」「相手方は,申立人と婚姻生活中,ほぼ専業主婦として未成年者を監護養育していたものの,幼稚園の迎えについては,延長保育や第三者に依頼するなどしたことが度々であった。また,相手方は,未成年者が幼稚園で精神的に不安定な状態となった際にも十分な対応をしていない・・・相手方の未成年者の従前の監護養育状況に問題がなかったとはいえない。」「相手方は,申立人と未成年者とが面接交渉をすることについて反対の意思を有しており,本件申立て以後においても,未成年者の通院等の手続についても申立人の協力を拒むなどした。相手方のかかる態度については,申立人と未成年者との交流を妨げる結果となっており,未成年者が社会性を拡大し,男性性を取得するなどの健全な発育ないし成長に対する不安定要素となっている。」「申立人は,従前,未成年者の監護に関与しなかったわけではなく,未成年者との関係については問題はないこと,実母ほか監護補助者の協力を得て未成年者を十分に監護養育する環境を整えていることが認められる。」とし、結論として「相手方を未成年者の監護者と指定し,相手方において引き続き未成年者の監護養育を行うことよりも,未成年者の監護者については,申立人と定めてその下において養育させるのが未成年者の福祉にかなうものと認められる。」と判断しました。

以上のことから、親権については、従前の監護状況だけでなく、面会交流を認めるかどうかという点も考慮されていることが分かります。親権についてお悩みの方はぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士: 仲野恭子