財産分与対象財産であることの確認を求める訴えに、確認の利益が認められるか

財産分与

1 財産分与対象財産であることの確認を求める訴えに、確認の利益が認められるかについて論じた判例があるので、今回はその紹介をしていきます。

 

2 大阪地方裁判所令和2年3月24日判決

この事件は、内縁関係を解消した際に、原告が被告に対し、被告の所有する財産が財産分与の対象財産に含まれることの確認を求めた事案です。この判例では、以下の理由から財産分与対象財産であることの確認を求める訴えに、確認の利益が認められないとしています。

(1)夫婦の財産のうち、名義は夫婦の一方に属するが実質的には共有に属するものについて、民法上の共有とは異なり、名義の属しない夫婦の他方は当該財産について当然に共有持分を有するわけではない。したがって、離婚によって生ずることがあるべき財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確なものである。

そうすると、夫婦の一方は、夫婦の他方が所有する財産について、協議あるいは審判等によって財産分与請求権の具体的内容が形成される前の段階(すなわち,その範囲及び内容が不確定・不明確なものにとどまっている段階)において、財産分与対象財産であることの確認を求めることはできず、このような確認を求める訴えは、確認の利益を欠き、不適法というべきである。

これは内縁関係の夫婦間であっても異ならない。

(2)判例上、遺産確認の訴えの適法性には確認の利益が認められているが(最判昭和61年3月13日)、この判例の射程は財産分与に及ぶものではない。

 

3 この点に関し、今後も、判例が蓄積されていくと考えられますので、お困りの際は弁護士にご相談ください。

弁護士: 渡邉圭輔