財産分与請求の申立時期
財産分与
1 はじめに
離婚訴訟において附帯処分として行うことができる財産分与請求の申立手続(人訴法32条1項)の申立時期についてご説明します。
2 財産分与請求の申立て時期
財産分与請求を含めて附帯処分の申立ては、離婚訴訟の事実審の口頭弁論終結時までにすることができるとされています。
過去の裁判例においても、控訴審において申立がされた財産分与請求は適法とされたものも存在します(札幌高裁昭和51年10月27日、最高裁昭和58年3月10日付け判決)。
なお、民事訴訟においては、当事者が故意又は重大な過失により攻撃防御方法又は防御方法を時機に遅れて提出した場合おいて一定の条件のもとで裁判所は申立て又は職権によりその攻撃防御方法を却下することができますが(民事訴訟法157条)、人事訴訟法19条1項では民事訴訟法157条の適用が排除されていることから、時機に後れた攻撃防御方法として却下されることもないと考えられます。
3 おわりに
上記2のとおり、財産分与請求は控訴審の口頭弁論終結時までは申立をすることも可能とはいえますが、控訴審において新たに申立をすることは主張・立証も含めて十分な対応をすることができない可能性もありますので、可能な限り一審での申立てをすることが望ましいと考えられます。
弁護士: 川島 直人