配偶者暴力等に関する保護命令の申立について(1)

離婚

1 DV防止法に基づく保護命令とは

 配偶者からの暴力を理由に、離婚を考えておられる方もいらっしゃると思います。

 まずは、離婚の前に、自らの身を守る必要があります。

 今回は、身を守る制度として定められている、配偶者暴力等に関する保護命令(配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律、通称「DV防止法」)の内容をご紹介します。

(1)申立人への6か月の接近禁止命令(法10条1項1号)

(2)2か月間の退去命令(法10条1項2号)

(3)申立人の6か月間の電話等禁止命令(法10条2項)

(4)子への6か月間の接近禁止命令(法10条3項)

(5)親族等への6か月間の接近禁止命令(法10条4項)

(6)上記(1)に(2)から(5)を加える複合型

 

 以下、個々の内容について、具体的にご説明します。

 

2 申立人への6か月の接近禁止命令について

 6か月間、申立人の身辺につきまとったり、申立人の住居や勤務先等の付近をうろつくことを禁止します。

 

3 2か月間の退去命令

 申立人と相手方とが同居している場合で、申立人が同居する住居から引越しをする準備等のために、相手方に対して、2か月間家から出ていくことを命じ、かつその期間に当該住居の付近をうろつくことを禁止します。

 

4 申立人の6か月間の電話等禁止命令

 6か月間、相手方から申立人に対する面会の要求、深夜の電話やメールなど一定の迷惑行為を禁止します。

 

5 子への6か月間の接近禁止命令

 子を幼稚園から連れ去られるなど子に対して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐために必要があると認められるときに、6か月間、申立人と同居している子の身辺につきまとったり、住居や学校等その通常いる場所の付近をうろつくことを禁止します。

 

6 親族等への6か月間の接近禁止命令

 相手方が申立人の実家など密接な関係にある親族等の住居に押しかけて暴れるなどその親族等に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに、6か月間、その親族等の身辺につきまとったり、住居(その親族等が相手方と同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。

 

7 複合型について

 被害者本人への接近禁止命令の実効性を確保するため、子への接近禁止命令、親族等への接近禁止命令、電話等禁止命令は、単独で発令することはありません。申立人に対する接近禁止命令とセットで発令されます。

 

8 最後に

 次回、申立手続きの具体的な流れについてご説明します。

 配偶者からの暴力を理由に離婚を考えておられる方は、当事務所へぜひご相談ください。

弁護士: 中川真緒